セッション情報 シンポジウム4(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診の理想的な住み分け:新しい検診方式を目指して

タイトル 消S4-10:

年代別H.pylori感染率と今後の胃がん検診

演者 間部 克裕(北海道大病院・光学医療診療部)
共同演者 菊地 正悟(愛知医大・公衆衛生学), 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部)
抄録 【目的】胃がん多発国である本邦において、胃がん検診は死亡率低下に大きな役割を果たしてきた。一方、原因であるH.pylori感染率は低下している。検診対象年齢の感染率を明らかにし、これからの効率的な胃がん検診の可能性について検討した。【方法】北海道夕張市において検診対象者に対してH.pylori血清抗体検査と胃粘膜萎縮を表す血清ペプシノーゲン検査を組み合わせたABC検診を行った。検診結果に基づき、現在の胃がん検診とABC検診と画像検査を行う場合について経済性を比較した。次に厚生労働科学研究、「ピロリ菌除菌による胃癌予防の経済評価に関する研究」、加藤班で収集したABC検診の結果をから本邦における最適な胃がん検診の方法について検討を行った。【成績】夕張市で561例にABC検診を行い、H.pylori抗体陰性、ペプシノーゲン法陰性のA群が全体の50.1%と過半数であった。40代以上ではA群が46.8%で、H.pylori抗体陽性のB群が17.1%、ペプシノーゲン法陽性のC、D群が26.9%、除菌既往のE群が6.3%であった。現在の胃レントゲンによる胃がん検診を全例受ける場合とA群以外の全例に内視鏡検査を行う場合の費用がほぼ同等と試算された。一方、夕張市の内視鏡検査可能な件数を大幅に上回っていた。全国22350例の集計結果でも、A群が全体の58.8%、20代から80代までA群はそれぞれ、86%、77.4%、69.5%、55.6%、55.2%、55.5%、57%でありどの年代でも過半数がA群であり、特に40歳代以下では7割以上がA群であった。【結論】H.pylori感染率の低下により全例に対する胃がん検診から、ABC検診と地区毎に対応可能な画像検査の組み合わせにより効率的な胃がん検診になると考えられた。
索引用語 胃がん検診, H.pylori