セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-024:

早期の手術治療にて良好な経過が得られた特発性食道破裂の1例

演者 岡田 剛史(福井大学 第1外科)
共同演者 小練 研司(福井大学 第1外科), 藤本 大裕(福井大学 第1外科), 澤井 利次(福井大学 第1外科), 森川 充洋(福井大学 第1外科), 村上 真(福井大学 第1外科), 廣野 靖夫(福井大学 第1外科), 五井 孝憲(福井大学 第1外科), 飯田 敦(福井大学 第1外科), 片山 寛次(福井大学 がん診療推進センター), 山口 明夫(福井大学 第1外科)
抄録 【はじめに】特発性食道破裂は嘔吐、咳嗽、排便・分娩時のいきみなどにて引き起こされ、致死率が7-30%と予後不良な救急疾患である。今回、嘔吐による特発性食道破裂に対し緊急手術を行い、良好な治療経過が得られた症例を経験したため報告する。【症例】55歳男性。2013年1月、胃部不快感を自覚後に嘔吐し、直後より心窩部と背部の激痛を訴え近医を受診。造影CTで特発性食道破裂と診断され同日加療目的に当院に搬送された。30歳時に胃潰瘍、45歳時に早期胃癌で内視鏡的切除の既往あり。搬入時、脈拍120/min、血圧170/108 mmHg、体温 38.6℃、呼吸数 30/min、身長 178cm、体重 94kg、BMI 29.7 kg/m2であった。血液検査所見ではWBC 6800、CRP 1.28で、5Lマスクでの酸素投与下でpO2 85.1 mmHgと低値を認めた。胸部単純XPでは左肺野のX線透過性の低下を認め、造影CTでは左気胸と左胸腔内に液体貯留像を認め、胸部下部から腹部食道左側にair densityを認め縦隔気腫も認めた。特発性食道破裂を疑い発症から6時間後より手術を開始した。左第6肋間開胸を行ったところ茶褐色の食物残渣を混じた胸水の排液を認めた。肥満により良視野が得られないため、開胸創に連続して開腹し、左横隔膜を前縁から食道裂孔に向けて観音開きとし、胸部下部食道をテーピングした。食道下部左壁が縦方向に約3cm損傷しており、吸収糸で食道全層を結節縫合後、外膜を結節縫合した。減圧目的に胃瘻を造設し、32Fr胸腔ドレーンを挿入して手術を終了した。術後はICUにて挿管、陽圧換気を行いPOD 5に抜管しPOD 11に食事を開始した。合併症なくPOD 24に退院した。【考察】同疾患は発症後24時間以上経過した症例では致死率が高いと報告されており、早期の正確な診断、手術治療への移行が最重要と考えられる。また縫合術後の縫合不全は25%程度と報告されているが、本例では発症から治療開始までの時間が短かったこと、比較的若年者で併存疾患がなかったことなどから、合併症なく経過できたと考えられた。【結語】早期に手術治療を行い良好な術後経過を得た特発性食道破裂の1例を経験したため報告した。
索引用語 特発性食道破裂, 早期治療