セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-021:

慢性膵炎仮性嚢胞に脾動脈瘤を合併し破裂を認めた1例

演者 名倉 慎人(黒部市民病院 消化器外科)
共同演者 経田 淳(黒部市民病院 消化器外科), 萩野 茂田(黒部市民病院 消化器外科), 芳炭 哲也(黒部市民病院 消化器外科), 岩田 啓子(黒部市民病院 消化器外科), 桐山 正人(黒部市民病院 消化器外科)
抄録 症例は65歳、男性。 アルコール性慢性膵炎、膵仮性嚢胞の診断にて近医通院中であった。 膵炎の急性増悪にて数回の入院歴がある。 2012年6月末に嘔吐、心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診。 採血上は高度の炎症反応の上昇を伴っており、血清アミラーゼ値は軽度高値であった。 腹部CT検査では、以前より認めていた膵仮性嚢胞は増大、多発し、嚢胞内に脾動脈瘤を伴っていた。 また、近接する胃壁の著明な肥厚と壁内にも嚢胞性変化を伴っていた。 以上より慢性膵炎の急性増悪の診断にて入院となった。 脾動脈瘤も伴っており、保存的加療の後に待機手術予定とした。 しかし、入院10日目に急激な心窩部痛を生じたため造影CT検査を施行したところ、脾動脈瘤の破裂を認めた。 出血は膵仮性嚢胞内に限局していたため大量出血には至らなかった。Interventional Radiology(IVR)を用いた動脈塞栓術(TAE)を行い止血し得た。 その後、状態の安定を待って入院34日目に手術を行った。 膵体尾部の炎症性変化は胃上部にも波及し一塊となっていたため、膵体尾部切除術に加え噴門側胃切除術も施行した。 術後は創部感染を認めた以外は大きな合併症なく経過し、術後46日目に退院となった。 慢性膵炎に伴う仮性嚢胞内に脾動脈瘤を合併し破裂を認めたが、IVRを用いた脾動脈塞栓術により緊急手術を回避でき、状態が安定した中で手術が可能であった1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 慢性膵炎膵仮性嚢胞, 脾動脈瘤破裂