セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
---|---|
タイトル | o-033:粘膜下腫瘍様発育を呈した進行胃癌の1例 |
演者 | 山田 香穂(金沢医科大学 消化器内科学) |
共同演者 | 白枝 久和(金沢医科大学 消化器内科学), 山田 英登(金沢医科大学 消化器内科学), 野村 友映(金沢医科大学 消化器内科学), 林 蘭仁(金沢医科大学 消化器内科学), 松永 和大(金沢医科大学 消化器内科学), 福山 智基(金沢医科大学 消化器内科学), 大塚 俊美(金沢医科大学 消化器内科学), 白枝 昌子(金沢医科大学 消化器内科学), 中村 正克(金沢医科大学 消化器内科学), 利國 信行(金沢医科大学 消化器内科学), 有沢 富安(金沢医科大学 消化器内科学), 富田 泰斗(金沢医科大学 消化器外科学), 木南 伸一(金沢医科大学 消化器外科学), 小坂 健夫(金沢医科大学 消化器外科学), 湊 宏(金沢医科大学病院 病理診断科) |
抄録 | 【症例】64歳女性、平成25年1月初旬より強い嘔気・嘔吐を認め、近医で急性胃炎と診断、加療を受けたが改善しないため当科に紹介となった。上部消化管検査は、5年前に内視鏡検査を受けて以降受けていなかった。【検査所見】身体所見、検査データから脱水の状態で、貧血は認められなかった。腫瘍マーカーは、CEA が2.0ng/mlと基準値内、CA19-9は149.1U/ml(37以下)と上昇していた。腹部X-Pで、胃内容の貯留を認め、腹部造影CTにて、造影される前庭部の壁肥厚像を認めた。PET-CTは前庭部に一致した異常集積を認めるのみであった。上部消化管内視鏡検査では、幽門輪を取り囲む様に前庭部後壁に位置する粘膜下腫瘍様の像として捕らえられた。腫瘍は硬く、経口用のスコープでは幽門輪を通過できなかったため、経鼻内視鏡を用い、十二指腸球部で反転し観察した。肉眼的には全て正常粘膜で覆われており、腫瘍部の露出は確認できなかった。超音波内視鏡検査は、粘膜下層から固有筋層に高エコー、低エコー成分の混在した腫瘍を認めた。癌以外にGISTも鑑別疾患と考え、生検を行った。しかし、表面からの生検結果は全て陰性で、後に表面に切開を加え、内部からの生検も試みたが、これも全て陰性であった。【手術所見】幽門側胃切除術を施行、46×39mm大の腫瘍で、一部漿膜面に腫瘍の露出を認めたが、粘膜面への露出は確認されなかった。また、リンパ節転移も認められなかった。以上より、進行胃癌Stage IIBと診断された。【病理所見】腫瘍は、高~中分化型腺癌と低分化型腺癌が混在しており、粘膜下に増殖し、粘膜表層にはほとんど認められなかった。一部は漿膜面に達し、高度のリンパ管侵襲を伴っていたが、リンパ節転移は認められなかった。【考察】病変は粘膜下腫瘍様の発育を示し、表面に腫瘍の露出を認めない特異な発育形態と考えられた。粘膜下腫瘍様の形態であっても、スコープが通過しない程硬化の強い病変は、癌が粘膜内で発生し粘膜下層や固有筋層で増殖した状態を考慮する必要があると考えられた。【結語】粘膜下腫瘍様の発育形態を呈する進行胃癌の1例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 進行胃癌, 粘膜下腫瘍 |