共同演者 |
二宮 致(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 丸銭 祥吾(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 斎藤 裕人(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 渡邉 利史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中沼 伸一(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 酒井 清祥(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 木下 淳(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 牧野 勇(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中村 慶史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 林 泰寛(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 尾山 勝信(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 井口 雅史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 宮下 知治(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 高村 博之(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 伏田 幸夫(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科) |
抄録 |
鏡視下食道癌手術後の再建胃管に発生した胃管癌に対して、低侵襲的手術が可能であった1例を経験したので報告する。【症例】69歳女性。胸部表在型食道癌の診断にて、2004年12月に胸腔鏡下食道切除、腹腔鏡補助下胃管作成、後縦隔経路胃管挙上頚部吻合、頚胸腹部郭清を施行した。病理結果はUtMt type 0-IIa+IIc, pT1a pN0 M0 pIM0 pStage 0 D2 Cur pA であった。【現病歴】2012年12月、術後8年目のフォローアップGTFにて胃管中部前壁にφ5mm大の0-IIc病変を認め、生検にてAdenocarcinoma (por, sig)であった。食道透視では病変は明らかでなく、胸腹部CTにてリンパ節転移や遠隔転移は認めなかった。【手術】早期胃管癌(M-08-O, M, Ant 0-IIc, por-sig, T1aN0 M0P0H0 cStage IA)の診断につき、内視鏡的切除も考慮されたが、胃管内での内視鏡操作が困難で、胃管縫合線にかかる病変であることより、2013年3月、胸腔鏡下胃管部分切除術を施行した。前回手術が鏡視下手術であったこともあり、胸腔内の癒着は軽度であり、術前に腫瘍周囲に留置したマーキングクリップを切除するように胃管全層を切除し、切除部胃壁を縫合閉鎖し、手術を終了した。手術時間は4時間43分、術中出血量は150mlであった。【臨床経過】術後経過は良好につき、術後6日目より経口摂取を開始し、第12病日目に退院した。病理結果は、Early cancer of stomach roll, por1>sig, pT1a, ly0, v0, pDM0, pDM0であり、根治切除と考えられた。【結語】食道癌術後フォローアップの中では、食道癌の再発のみならず、異時性消化器癌の発生を見ることがある。食道癌に対する集学的治療による治療成績の向上に伴い、患者の予後延長が得られる中で、今後再建臓器内の癌の発生が増加することが予想されるため、これに留意した厳重な術後フォローアップが肝要である。 |