セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-002:

ミノキシジル長期服用により高度の黄疸を呈した薬物性肝障害の一例

演者 濱本 愛子(福井大学 医学部 消化器内科)
共同演者 根本 朋幸(福井大学 医学部 消化器内科), 赤澤 悠(福井大学 医学部 消化器内科), 野阪 拓人(福井大学 医学部 消化器内科), 高橋 和人(福井大学 医学部 消化器内科), 松田 秀岳(福井大学 医学部 消化器内科), 大谷 昌弘(福井大学 医学部 消化器内科), 平松 活志(福井大学 医学部 消化器内科), 須藤 弘之(福井大学 医学部 消化器内科), 中本 安成(福井大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】20歳代男性。主訴:全身倦怠感。既往歴:特記事項なし。現病歴:X年12月1日全身倦怠感を認め、近医を受診。上気道炎として加療を受けた。症状は改善せず、12月14日高度の肝障害を指摘され、同日当科紹介入院。飲酒はエタノール換算84g、1回/2週。生食なし。海外渡航歴なし。ミノキシジル、フィナステリド、L-リジンを3年間内服。身体所見:黄疸あり。表在リンパ節触知せず。右肋弓下で肝2横指触知、辺縁鋭、弾性軟、叩打痛あり。血液検査所見:WBC 4700/μl、Hb13.8 g/dl、Plt 23.5×104/μl、PT 84.7%、TP 6.3 g/dl、Alb 3.4 g/dl、ZTT 3.4 U、TTT 3.3 U、T-Bil 10.5 mg/dl、D-Bil 7.2 mg/dl、AST 269 IU/l、ALT 416 IU/l、LDH 270 IU/l、ALP 480 IU/l、γGTP 103 IU/l、CRP 0.85 mg/dl、IgM-HA(-)、HBV-DNA(-)、HCV-RNA(-)、HEV-RNA(-)、ANA<40、AMA-M2 8.8(+)、IgG 1156 mg/dl。腹部CT:軽度肝腫大、門脈域浮腫性変化あり。胆管拡張、脾腫なし。腹水少量。ウイルス性、アルコール性および自己免疫性肝疾患は否定的で、肝組織所見では小葉内に中等度の壊死、門脈域に軽度の線維化と中等度の単核球浸潤を認めた。内服歴、経過およびDDW-J2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリングは9点であることよりミノキシジルによる薬物性肝障害と診断した。【経過】入院後すべての内服薬を中止したが、第13病日にAST 626 IU/l、ALT 825 IU/l、第18病日にはT-Bil 34.0 mg/dlと高度の黄疸を認めた。その後肝予備能の低下はなく、肝障害は徐々に軽快し、第47病日退院となった。【考察】近年、健康食品や市販薬による肝障害が増加傾向である。一般に安全とされ、医療機関への受診なく服用されるため、それらによる肝障害の発見は遅れやすい。今回我々は市販の外国製育毛剤を3年間長期服用した後に肝障害が遷延した一例を経験した。原因薬物と考えられたミノキシジルによる肝障害は、本邦ではこれまでほとんど報告はない。現在ミノキシジルは外用薬としての使用が大部分を占めているが、今後内服薬の使用が増加することが予想され注意を要すると考えられた。
索引用語 薬物性肝障害, ミノキシジル