セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-039:

サイトメガロウイルスの同時感染を認めたジアルジア症の一例

演者 山宮 大典(金沢赤十字病院 消化器病センター)
共同演者 藤原 秀(金沢赤十字病院 消化器病センター), 高田 昇(金沢赤十字病院 消化器病センター), 岡藤 啓史(金沢赤十字病院 消化器病センター), 寺崎 修一(金沢赤十字病院 消化器病センター), 岩田 章(金沢赤十字病院 消化器病センター)
抄録 【症例】34歳、男性【既往歴】特記事項なし【性交渉歴】1ヶ月前にパートナー以外との性交渉あり【渡航歴】なし【現病歴】10日間持続する腹痛、嘔気を主訴に近医を受診。腸炎の診断で処方を受けたが改善認めないため、10月2日当科受診となった。腹部CTにて高度の便貯留を認めたため便秘と診断し、グリセリン浣腸を施行。排便にて症状が軽快したため、下剤処方の上で外来にて経過観察となった。しかし、帰宅後に症状の再燃を認め、10月5日に当科再診。採血にて低蛋白血症と軽度の肝機能障害、異型リンパ球の出現を認めた。また、腹部造影CTにて少量腹水と十二指腸水平部から小腸の壁肥厚、脾腫を認めた。精査加療目的に同日入院となった。入院後、嘔吐や下痢症状も認められた。採血ではCMV-IgM(+)、CMV-IgG(+)であり、サイトメガロウイルスの初感染が示唆された。上部・下部消化管内視鏡検査では軽度の十二指腸炎と非特異的な回腸末端炎の所見を認めた。好酸球性腸炎の可能性を疑ったため、寄生虫疾患除外目的に便の直接検鏡を行った所、ランブル鞭毛虫のシストを認めた。以上より、これまでの消化管症状はジアルジア症によるものと判断し、そこにサイトメガロウイルスが同時感染したものと診断した。症状は一時的な絶食のみで改善したため、外来にてメトロニダゾールの投与を開始した。中止後も症状の再燃は認めていない。【考察】ジアルジア症はランブル鞭毛虫によって引き起こされる感染症で、衛生環境の改善に伴い、本邦では比較的稀な疾患となってきている。本症例は、好酸球性腸炎の可能性を考え偶然施行した便の直接検鏡にて、ランブル鞭毛虫のシストを認めたため、診断しえた。また、サイトメガロウイルスも同時感染していたため、入院時に肝機能障害や異型リンパ球の出現、脾腫などの所見も認められ、複雑な病態を呈していたと考えられる。サイトメガロウイルスの同時感染を認めたジアルジア症の一例を経験した。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 ジアルジア症, CMV感染症