セッション情報 一般演題

タイトル o-040:

当院で経験した年長児および青年期機能性消化管障害症例の検討

演者 水野 秀城(富山市立富山市民病院 消化器内科)
共同演者 蓑内 慶次(富山市立富山市民病院 消化器内科), 青山 庄(富山市立富山市民病院 消化器内科), 樋上 義伸(富山市立富山市民病院 消化器内科)
抄録 【目的】消化器症状があるものの、器質的原因が明らかではない病態は機能性消化管障害(FGIDs)と定義され、診断および治療法が確立されつつある。当院でも多くのFGIDs症例を診療しているが、大多数が成人症例である。そこで、当院で経験した年長児および青年期の機能性消化管障害症例について検討を行った。【対象・方法】2009年4月から2013年4月までに当院で治療を行ったFGIDs症例のうち、10歳以上で、Rome III基準の“小児および青年期の機能性障害”の項目を満たした12症例を対象とした。各症例の背景因子、病悩期間、診断法、治療法についてretrospectiveに検討した。【結果】平均年齢は15.1歳(10-18)、男性8例、平均病悩期間は12.3カ月であった。12例中8例が他院で加療されていたが、症状の改善が得られないため当院へ紹介となった。疾患別には、機能性ディスペプシア(FD)と過敏性腸症候群(IBS)を併発しているのは3例(IBS混合型が1例、IBS下痢型が2例)、FDのみが5例、IBSのみが4例(混合型1例、下痢型2例、便秘型1例)であった。診断に際し、出雲スケールやGSRSなどの問診を使用したのは6例であった。また9例が内視鏡検査や胃透視、腹部CTなどで器質的疾患を除外されたが、3例は腹部レントゲンと問診のみで診断、加療されていた。治療に関しては、全ての症例に社会心理学的サポートや食事、生活指導を行った。その上で、FDに対して酸分泌抑制剤を中心に消化管運動賦活剤や漢方薬を併用している症例があった。IBSに関しては、下痢型で男性の場合は5-HT3受容体拮抗薬を使用しているが、混合型や便秘型の場合、社会心理学的サポートや食事、生活指導のみで経過観察された症例が3例あった。【考察】年長児および青年期の機能性消化管障害の治療は成人例とほぼ同じであったが、社会心理学的サポートや食事、生活指導のみで良好な経過を辿る症例もあり、患者や保護者と良好な信頼関係を構築することも重要と考えられた。
索引用語 過敏性腸症候群, 機能性ディスペプシア