セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-022:

脾臓に発生した孤立性の肉芽腫の一例

演者 鈴木 勇人(福井県済生会病院 外科)
共同演者 寺田 卓郎(福井県済生会病院 外科), 河野 史穂(福井県済生会病院 外科), 佐野 周生(福井県済生会病院 外科), 島田 麻里(福井県済生会病院 外科), 加藤 嘉一郎(福井県済生会病院 外科), 島田 雅也(福井県済生会病院 外科), 加藤 成(福井県済生会病院 外科), 斎藤 健一郎(福井県済生会病院 外科), 天谷 奨(福井県済生会病院 外科), 高嶋 吉浩(福井県済生会病院 外科), 土田 敬(福井県済生会病院 外科), 飯田 善郎(福井県済生会病院 外科), 宗本 義則(福井県済生会病院 外科), 三井 毅(福井県済生会病院 外科), 中山 俊(福井県済生会病院 腫瘍内科)
抄録 今回,我々は脾臓に発生した孤立性の肉芽腫の1例を経験したので報告する。症例は65歳男性。既往歴は虫垂炎以外は特記なし。自覚症状は認めず。2012年11月に検診の腹部エコーにて脾臓に腫瘍を指摘され12月に当院に紹介受診となった。腹部エコーでは脾臓に46mm大の類円形、境界明瞭な低エコー腫瘍を認めた。CTでは、歪な形状の低吸収腫瘍であり造影では内部は不均一、漸増性に造影された。また腫瘍に明らかな隔壁は認めなかった。MRIでは、脾臓腫瘍はT1WIで軽度高信号、T2WIで辺縁は強い低信号、内部は周囲の脾実質と比べて等信号を呈していた。造影ではCTと同様で内部は不均一、漸増性に増強された。PET-CTでは脾臓腫瘍に一致してSUVmax:7.2→9.1の明瞭な集積を認めたが、その他の部位に異常集積は認めなかった。腫瘍マーカーは全て正常範囲内であり、また血液検査所見や臨床所見からはサルコイドーシスを示唆する所見は認めなかった。以上から鑑別としては過誤腫、悪性リンパ腫、サルコイドーシス、炎症性偽腫瘍などが考えられた。診断と治療目的に手術(腹腔鏡下脾摘術)を施行した。摘出した脾臓は160g、割面では4.8×3.9×3.7cmの白色充実性の腫瘍であった。境界は明瞭であるが脾の実質を取り込むように発育していた。病理組織学的には非乾酪性の類上皮肉芽腫であった。追加で行った各種検査で結核やリンパ増殖性疾患は否定的であった。病態として、非特異的なサルコイドーシスや何らかの炎症性変化を疑うが、今後も慎重に経過観察を行う予定である。
索引用語 脾臓, 類上皮肉芽腫