セッション情報 一般演題

タイトル o-035:

l-メントール製剤の使用経験

演者 川浦 健(金沢医科大学 消化器内視鏡学)
共同演者 濱田 和(金沢医科大学 消化器内視鏡学), 藤井 頼考(金沢医科大学 研修センター), 北方 秀一(金沢医科大学 消化器内視鏡学), 岡村 英之(金沢医科大学氷見市民病院), 浦島 左千夫(金沢医科大学氷見市民病院), 伊藤  透(金沢医科大学 消化器内視鏡学)
抄録 【目的】上部消化管内視鏡検査において詳細な観察や緻密な治療を行う際に、消化管蠕動抑制は必須であると考える。しかし、現在使用されている抗コリン剤およびグルカゴンの使用は重篤な心臓病や前立腺肥大、緑内障、重度の糖尿病患者には使用は危険であり、多数の合併症の報告もある。これらの場合に消化管蠕動抑制を行わずに検査を行うことが多い。そこで当科では新たな消化管蠕動抑制薬であり2011年1月に販売されたl-メントール製剤(ミンクリア)の有効性および安全性などを比較検討した。【方法】2012年1月から2013年3月まで当科にて通常上部消化管内視鏡検査を施行した83例で検討した。使用は内視鏡を胃内に到達した時点で蠕動を確認し前庭部にl-メントール製剤1Vを直接散布し、蠕動の変化を観察した。なお胃蠕動運動は丹羽分類に準じて判定した。副作用に関しては検査終了後の診察時に問診および診察にて判定した。【結果】l-メントール製剤の効果を認めたのは83例中、74例(89.1%)であった。効果発現までは平均で24秒前後、持続時間に関しては検査終了まで10分まで、その効果は持続していた。効果のある症例と無い症例を比較検討すると、年齢、性別、セデーションの有無、インジゴカルミン散布の有無、背景の萎縮粘膜などの項目で有意な関連性は認めなかった。重篤な副作用は1例も認めなかった。【考察】l-メントール製剤は効果発現も早く、様々な条件下でも症例を選ばず、さらに安全性の高い製剤である。ただし、散布すると細かい気泡が出現したり色素散布時に色素の乗りが若干悪くなったりする欠点もある。消化管NBI拡大併用内視鏡検査時や微小胃癌の発見、精査などにはやや内視鏡所見の精度低下を否めないが、l-メントール製剤散布による蠕動抑制は検診などの内視鏡検査では充分に有用で、安全な手法と考える。
索引用語 消化管蠕動抑制, メントール