セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル o-013:

異なる病態を呈した膵仮性嚢胞に対し嚢胞および経乳頭的ドレナージ術が奏功した2例

演者 清家 拓哉(恵寿総合病院 消化器内科)
共同演者 西川 昌志(恵寿総合病院 消化器内科), 渕崎 宇一郎(恵寿総合病院 消化器内科), 宮森 弘年(恵寿総合病院 消化器内科)
抄録 【症例1】62歳、男性。糖尿病、アルコール性慢性膵炎で加療中、激しい心窩部痛、嘔吐および腹部膨満が出現し当科受診。CT所見では、膵周囲の液体貯留、主膵管に結石、尾側膵管の拡張および巨大な膵仮性嚢胞を認めた。膵仮性嚢胞を合併した慢性膵炎急性増悪と診断。ERP所見では、主膵管に結石が嵌頓し尾側膵管へ造影剤は流入せず、GWも挿入不能で、副乳頭からのアプローチでも同様であった。内視鏡的膵管ドレナージ(EPD)は施行しえず、膵仮性嚢胞に対してEUS下嚢胞ドレナージ術(EUS-CD)を施行した。外瘻用ENCDと内瘻用ステントを同時に留置した。同日にENCDチューブは自己抜去されたため、内瘻用ステントを1本追加した。以後症状は速やかに軽快し嚢胞の縮小を認め退院。1ヵ月後には嚢胞は消失し、膵石に対してESWLを施行した。主膵管に高度の狭窄を認めたがESWLにより造影可能となり、EPSTを施行後除石した。狭窄部位に対しバルーン拡張後にEPDを施行した。その後ステントを抜去したが再発はみられず経過良好である。【症例2】54歳、男性。アルコール性肝障害、慢性膵炎で近医に加療中であったが、4日前から高度の心窩部痛を認め当科受診。血液生化学所見でアミラーゼ、リパーゼ値の軽度上昇および炎症反応が高値を示し、腹部CT所見では膵尾部に液体貯留および周囲脂肪織濃度の混濁を認め、慢性膵炎急性増悪と診断し入院。経過のCT所見では仮性嚢胞が急速に増大し、脾実質内から左胸腔内に穿破し大量の膵性胸水を認めた。ERP所見では主膵管の高度な狭小化を認めたため、EPDを施行したが嚢胞の縮小はえられず、経皮的脾臓ドレナージおよび胸腔内ドレナージ術を施行した結果、嚢胞は消失し軽快した。主膵管に高度の狭窄がありEPDを継続中であるが6ヶ月間再発はみられていない。【結語】膵結石の主膵管嵌頓による膵仮性嚢胞および脾臓・胸腔内に穿破した膵仮性嚢胞の2例に対し、集学的治療により良好な結果を得た。慢性膵炎による膵仮性嚢胞の病態は様々であり、その成因や症状により適切な治療法を選択することが重要と考えられた。
索引用語 膵仮性嚢胞, 脾臓穿破