セッション情報 一般演題

タイトル o-09:

慢性C型肝炎sustained virological response(SVR)5年後に混合型肝癌を発症した一例

演者 舩木 雅也(石川県済生会金沢病院 消化器科)
共同演者 代田 幸博(石川県済生会金沢病院 消化器科), 松田 昌悟(石川県済生会金沢病院 消化器科), 若林 時夫(石川県済生会金沢病院 消化器科), 今井 哲也(石川県済生会金沢病院 外科), 斉藤 大輔(石川県済生会金沢病院 外科), 大和 太郎(石川県済生会金沢病院 外科), 富田 剛治(石川県済生会金沢病院 外科), 龍澤 泰彦(石川県済生会金沢病院 外科)
抄録 【症例】70歳代、女性。20歳代に輸血の既往あり。2006年肝障害を指摘され当科受診。精査の結果C型慢性肝炎と診断。2型低ウイルス量、肝生検所見は新犬山分類でA2、F3であった。天然型IFNα 300万単位を2週間連日投与後22週間間欠投与を実施。開始後3週間でウイルスは陰性化し、SVRが得られ2008年より他院にて経過観察されていた。2012年、肝腫瘍を指摘され当科へ紹介となった。腹部ダイナミックCTではS5/6に30mm大の腫瘍を認め、動脈相では辺縁優位に厚いリング状の濃染を呈し、内包される領域には動脈相から平行相にかけて漸増性の不均一な濃染を認めた。S3には10mm大の腫瘍を認め、いずれの相でも相対的に低吸収であった。EOB-Gd造影MRIでは、肝S5/6病変はT1強調画像では低信号、T2は高、拡散強調は高、造影検査ではダイナミックCTと同様の所見を認め、肝細胞相は低信号を認めた。S3病変はダイナミックCTと同様の所見を認め、肝細胞相は低信号を認めた。前医で施行された上部および下部消化管内視鏡検査ではその他の悪性疾患は認めなかった。以上の結果よりS5/6の腫瘍は混合型肝癌、胆管細胞癌、硬化型もしくは肉腫様肝癌が疑われた。また、S3の腫瘍は早期肝細胞癌と考えた。S5/6の腫瘍に対して肝部分切除術を実施し、S3 の腫瘍に対しては術中RFA(ラジオ波焼灼療法)を施行した。病理所見上S5/6の腫瘍は胆管細胞癌の成分に加え肝細胞と胆管上皮の中間的な性質を持つ腫瘍細胞の増生を認め、混合型肝細胞癌と診断した。【考察】混合型肝癌は我が国では原発性肝癌症例の0.68%であり非常に少なく、肝細胞癌に比して予後は明らかに悪く、肝内胆管癌よりも予後不良とする報告も認められる。本症例のように慢性C型肝炎SVR後に混合型肝癌を認めた症例は非常に稀である。早期肝細胞癌と推測される病変を合併した点も興味深く、病理所見・画像所見からも示唆に富む症例と考え報告する。
索引用語 混合型肝癌, SVR