セッション情報 一般演題

タイトル O-003:

Roux-en-Y再建術後の輸入脚閉塞による急性膵炎の一例

演者 辻 国広(石川県立中央病院  消化器内科)
共同演者 竹村 健一(石川県立中央病院  消化器内科), 太田 亮介(石川県立中央病院  消化器内科), 竹田 康人(石川県立中央病院  消化器内科), 朝日向 良朗(石川県立中央病院  消化器内科), 中西 宏佳(石川県立中央病院  消化器内科), 冨永 桂(石川県立中央病院  消化器内科), 稲垣 聡子(石川県立中央病院  消化器内科), 吉田 尚弘(石川県立中央病院  消化器内科), 辻 重継(石川県立中央病院  消化器内科), 山田 真也(石川県立中央病院  消化器内科), 森山 秀樹(石川県立中央病院  消化器内科), 稲木 紀幸(石川県立中央病院  消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院  消化器内科)
抄録 【症例】70歳女性。66歳時に胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除・Roux-en-Y再建術が施行され、その後再発なく経過していた。今回、2日前からの腹痛を主訴に当院救急外来に受診した。身体所見では心窩部に圧痛を認め、血液生化学検査ではアミラーゼ2071IU/Lと膵酵素の上昇を認めた。腹部CT検査では膵頭部の腫大、膵周囲の液体貯留とともにトライツ靱帯までの輸入脚の著しい拡張を認めたことから、輸入脚閉塞による急性膵炎と診断した。入院後保存的加療を行ったが、腹部症状・採血所見ともに改善がえられなかったことから、第2病日に外科的加療が施行された。腹腔鏡下の観察では挙上空腸と横行結腸間膜の間隙に小腸が大きく陥入し、残胃空腸吻合部からY脚吻合部がねじれるように引き込まれていた。明らかな虚血性の変化は認めなかったことから、腹腔鏡下に整復し、挙上空腸と横行結腸間膜の間隙を縫合閉鎖し手術を終了とした。術後の経過は良好で腹部症状・採血所見ともに速やかに改善し、第9病日に退院となった。【まとめ】Roux-en-Y再建術後の輸入脚閉塞による急性膵炎の一例を経験した。Roux-en-Y法は術後合併症の発生率は低く、優れた再建法であるが、挙上空腸と横行結腸間膜に間隙が生じるため、内ヘルニアの危険性がある。幽門側胃切除後の内ヘルニアは稀な病態であったが、近年普及しつつある腹腔鏡手術においては癒着が発生しにくいことで内ヘルニアの発生頻度が増加する可能性が指摘されている。急性輸入脚閉塞は時に重篤な経過をたどる症例も存在するから、Roux-en-Y法においては内ヘルニア発生の可能性を常に念頭に置き、早期診断に努めるべきである。
索引用語 Roux-en-Y, 輸入脚