セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-004:教室における膵癌に対する外科切除の現状と成績 |
演者 | 北川 裕久(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科) |
共同演者 | 田島 秀浩(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 牧野 勇(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 寺川 裕史(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 正司 正寿(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 中沼 伸一(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 林 泰寛(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 高村 博之(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 宮下 知治(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大学 附属病院 消化器・乳腺・移植再生外科) |
抄録 | 膵癌は近年治癒をめざしてR0切除を行うことで予後改善がみられているが、術前の正確な進展範囲の診断と、理論に基づいた綿密な術式立案が重要である。【術前進展範囲診断】術前診断は、造影MDCTで行うが、膵癌に特化した条件下で出来るだけ薄いスライスで撮像し、ページングを繰り返して診断する。特に、SMV/PV浸潤、SMA方向・CeA方向・前方組織への浸潤は、その範囲を詳細に評価する。【術式立案】占居部位、進展範囲に応じた切除郭清範囲をテーラーメイドに設定し、年齢や全身状態を加味して術式の立案を行う。コンセプトは、「所属リンパ流域の切除郭清」+「膵周囲組織への直接浸潤に対しては癌を遺残させない切離ラインの設定」である。後面剥離層は、頭部・体尾部にかかわらず腎筋膜前葉は含めて切除する。膵頭部癌の手術である膵頭十二指腸切除術は、高難易度手術であるが、シンプルなPDからSMA合併切除PD(ARPD)まで様々な段階があり、根治性・侵襲の点で大きな隔たりがある。腹側膵領域の癌では、mesenteric approachでのmeso-pd郭清を基礎とし、神経叢の郭清は3段階に設定し、機能温存と根治性の両立をめざしている。背側膵領域の癌では、総肝動脈背側から脾静脈のSMV合流部背側に至るルートを基礎として、2段階の切除範囲を設定し、機能温存に努めている。膵体尾部癌では、脾動脈血流遮断・膵切離を先行させ、体部から尾部脾臓方向へと切除していく。腫瘍が大動脈左縁を越えて頭部側に及ぶ場合には、腹腔動脈・総肝動脈合併切除(DP-CAR)も考慮する。【成績】2005年4月から2013年7月までに当科で切除を行った、IPMC微小浸潤癌などを除いた通常型浸潤性膵管癌手術例は88例(頭部54例、体尾部34例)で、全体の5年生存率/MST/5年以上生存者数は、32%/24M/11例であった。R0は68例(77%)で42%/24M/11例であった。部位別にみると、頭部はR0が43例(80%)で30%/24M/4例、体尾部はR0が25例(74%)で56%/-/7例であった。平均出血量は、頭部628ml、体尾部340mlであった。 |
索引用語 | 浸潤性膵管癌, 外科切除 |