セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-007:

胆道血腫をきたした膵仮性動脈瘤破裂の一例

演者 大江 迪子(金沢大学附属病院 消化器内科)
共同演者 柳瀬 祐孝(金沢大学附属病院 消化器内科), 早稲田 洋平(金沢大学附属病院 消化器内科), 齊藤 奈津子(金沢大学附属病院 消化器内科), 吉田 功(金沢大学附属病院 消化器内科), 金子 周一(金沢大学附属病院 消化器内科), 小坂 一斗(金沢大学附属病院 放射線科), 眞田 順一郎(金沢大学附属病院 放射線科)
抄録 症例:60代男性 主訴:上腹部痛 現病歴:アルコール性慢性膵炎のため近医に通院中であったが、飲酒を継続しており膵炎急性増悪のため入退院を繰り返していた。2013年4月下旬に飲酒後から腹痛が出現し自宅で経過をみていたが、2日後に増悪したため近医を受診した。精査の結果、CTで膵仮性動脈瘤破裂、胆管炎と診断され、膵仮性動脈瘤破裂に対する塞栓術目的に当院に夜間搬送された。緊急血管造影で脾動脈近位部の仮性動脈瘤より出血を認めたため、塞栓術が施行された。また、当院入院時の血液検査でALP 1679IU/L、γGTP 165IU/L、AST 230IU/L、ALT 82IU/Lと肝胆道系酵素上昇があり、CTでも肝内胆管・総胆管の拡張と同部位に高吸収域が認められた。経過や精査の結果から、膵仮性動脈瘤破裂に伴う胆道血腫の可能性が第一に考えられた。内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術(ENBD)留置も考慮されたが、塞栓術後腹痛が改善し、第2病日に行われたCTでも胆管拡張の改善、血腫を疑う高吸収域の不明瞭化を認めたためENBDは行わず保存的加療が継続された。その後も自然経過で肝胆道系酵素の低下が認められ、第9病日に施行されたCTで胆管拡張や血腫を疑う高吸収域は明らかではなかった。第14病日より経口摂取を再開したが、特に症状の再燃なく、第24病日に退院となった。結語:膵仮性動脈瘤破裂による胆道血腫のため胆管炎を発症したと考えられる一例を経験した。このような症例は稀であり、今回若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆道血腫, 膵仮性動脈瘤