セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | O-008:肝細胞癌との鑑別に苦慮し、CTガイド下生検にて診断しえた肝血管筋脂肪腫の一例 |
演者 | 澤崎 拓郎(厚生連高岡病院 消化器内科) |
共同演者 | 本藤 有智(厚生連高岡病院 消化器内科), 小川 浩平(厚生連高岡病院 消化器内科), 国谷 等(厚生連高岡病院 消化器内科), 西田 泰之(厚生連高岡病院 消化器内科), 平井 信行(厚生連高岡病院 消化器内科), 寺田 光宏(厚生連高岡病院 消化器内科), 野畠 浩司(厚生連高岡病院 放射線科), 川森 康博(厚生連高岡病院 放射線科), 北川 清秀(厚生連高岡病院 放射線科), 向 宗徳(富山大学大学院医学薬学研究部 病理診断学講座), 常山 幸一(富山大学大学院医学薬学研究部 病理診断学講座) |
抄録 | 【症例】50歳女性 【現病歴】全身性エリテマトーデス・抗リン脂質抗体症候群などにて内科通院加療中であった。健康診断の腹部超音波検査にて肝腫瘤を指摘され当科受診した。アルコール摂取は機会飲酒程度、治療薬以外健康食品やサプリメントの摂取歴はなし。血液検査ではHBs抗原・HCV抗体陰性、AFP・PIVKA-2を含む腫瘍マーカーは陰性であった。肝dynamicCTを施行したところ、肝S8に20mm大のSOLを認めた。動脈相にて早期濃染を認め、門脈相にてコロナ濃染を示し肝細胞癌が疑われた。MRIではT1低信号・T2高信号で、腫瘍内は脂肪成分は少量のみ、ダイナミック第1相で早期濃染を呈し、第2相で被膜が濃染される像を呈し肝細胞癌に矛盾しない所見であった。腹部血管造影では、腫瘍部は造影早期より強く濃染し、後期相ではwashoutしリング状の濃染を示した。腫瘍内部には後期相まで持続して濃染する部分があり、線維性間質が豊富な腫瘤が疑われた。これらの結果より腹部血管造影では肝細胞癌・腺腫・血管筋脂肪腫などが鑑別にあがったが、確定診断のためには組織学的検討が必要と判断され肝生検を行うこととなった。しかし、超音波ガイド下生検では病変部の採取が難しく、CTガイド下生検を施行した。軽度のsteatohepatitisを示す肝組織を背景として、腫瘍内は脂肪細胞と多角形から紡錘形細胞の混在から構成され、好酸性胞体を有する筋系への分化を示唆する細胞が含まれており、髄外造血を思わせる赤芽球様細胞の集簇もみられた。免疫染色ではCK7(-)・CK20(-)・HMB45(+)・Melan A(+)・HepPar1(-)で血管筋脂肪腫が疑われた。当初手術予定であったが、肝生検の結果により経過観察の方針となった。 これまでの報告によると手術に至って血管筋脂肪腫と診断されている例も少なくなく、本例は肝生検を含めた各種検査により手術を回避できた点で貴重な症例であったと考える。若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 肝血管筋脂肪腫, 肝臓 |