セッション情報 一般演題

タイトル O-010:

カプセル内視鏡で発見された回腸メラノーシスの1例

演者 吉田 尚弘(石川県立中央病院 消化器内科)
共同演者 太田 亮介(石川県立中央病院 消化器内科), 竹田 康人(石川県立中央病院 消化器内科), 朝日向 良朗(石川県立中央病院 消化器内科), 中西 宏佳(石川県立中央病院 消化器内科), 辻 国広(石川県立中央病院 消化器内科), 稲垣 聡子(石川県立中央病院 消化器内科), 冨永 桂(石川県立中央病院 消化器内科), 辻 重継(石川県立中央病院 消化器内科), 竹村 健一(石川県立中央病院 消化器内科), 山田 真也(石川県立中央病院 消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院 消化器内科), 津山 翔(石川県立中央病院 病理診断科), 丹羽 秀樹(石川県立中央病院 病理診断科), 片柳 和義(石川県立中央病院 病理診断科), 車谷 宏(石川県立中央病院 病理診断科)
抄録 【はじめに】小腸のメラノーシスは極めて稀な疾患である。今回、カプセル内視鏡(CE)で発見し、シングルバルーン内視鏡(SBE)による生検で診断を得た回腸メラノーシスの1例を経験したので報告する。【症例】症例は80歳代の女性。既往歴は52歳時に胃癌に対して胃全摘術が施行されており、常用薬は、乾燥硫酸鉄、エチゾラム、ウルソデオキシコール酸、レバミピド、エカベナトリウム水和物であった。2012年3月に鉄欠乏性貧血の原因精査目的で前医を受診。上部・下部消化管内視鏡検査や腹部造影CT検査を施行したものの原因を特定することはできず、鉄剤の内服で経過観察となった。2013年2月に血便を認めたため前医を受診。上部・下部消化管内視鏡検査を施行するも出血源は同定できず、小腸の精査目的で3月に当科へ紹介となった。当科受診後、直ちにCEを施行したところ、遠位回腸に点状発赤の多発を認めた。出血源である可能性が否定できなかったため、後日経肛門的SBEを施行したところ、回腸末端から口側50cmの範囲に茶色の点状小隆起が集簇し斑状となった扁平隆起の多発を認めた。CEで指摘された病変と同一病変と考えられ、同部位より生検を行ったところ、病理学的には回腸粘膜固有層に茶褐色顆粒を貪食した組織球の集簇性浸潤を認め、回腸メラノーシスの診断となった。尚、CEとSBE(経肛門的)で観察し得た範囲に出血の原因となり得る他病変は指摘できなかった。患者はこれ以上の精査は希望されず、最終的に出血源を同定することはできなかった。【結語】小腸のメラノーシスは鉄剤内服との関連が指摘されており、本症例も鉄剤の内服歴を認めた。小腸内視鏡技術の普及で、今後小腸メラノーシスに遭遇する可能性は少なくないと考えられる。CEとBEにおける小腸メラノーシスの画像所見を認識することは、他の出血性病変との鑑別の点で重要であると考え、本症例を提示する。
索引用語 小腸メラノーシス, カプセル内視鏡