セッション情報 |
一般演題
|
タイトル |
O-011:頚部リンパ節転移を伴うinvasive micropapillary carcinoma成分を含んだ直腸癌の1例
|
演者 |
上田 有紀(福井大学 第一外科DELIMITER国立病院機構福井病院 外科) |
共同演者 |
戸川 保(国立病院機構福井病院 外科), 田畑 信輔(国立病院機構福井病院 外科), 恩地 英年(国立病院機構福井病院 外科), 五井 孝憲(福井大学 第一外科), 木村 俊久(国立病院機構福井病院 外科), 山口 明夫(福井大学 第一外科) |
抄録 |
【はじめに】invasive micropapillary carcinoma(以下、IMPC)は、組織学的に脈管様の空隙で囲まれた微小乳頭状癌胞巣から構成されることが特徴である。今回、我々は左頚部リンパ節転移を伴うIMPC成分を含んだ直腸癌の1例を経験したため、文献的考察を加え報告する。【症例】83歳、女性。貧血の精査目的に2012年7月当院に紹介された。大腸内視鏡検査で直腸Rsに隆起性病変を認め、生検で低分化腺癌が検出された。CTでは多数の腹腔内リンパ節・左頚部リンパ節の腫大を認めた。切除不能と判断し、出血コントロール目的に腹腔鏡補助下高位前方切除術(D1)、左頚部リンパ節生検を施行した。摘出標本の病理組織学的検査では、癌細胞が胞巣状をなして増殖し、癌胞巣周囲に空隙を伴って浸潤増殖する像が見られた。免疫染色では、MUC1染色でinside-out patternを認め、IMPCと診断した。また、左頚部リンパ節でもinside-out patternを呈した癌細胞を認め、直腸癌の転移と判断した。最終診断は、Colon cancer, Rs, type2, SE, N3(20/23), M1(左頚部リンパ節) Stage4であった。進行癌であり、化学療法の施行を提示したが、本人と家族が拒否され、BSCの方針となり、5ヵ月後に死亡した。【考察】IMPCは、高頻度にリンパ管侵襲・リンパ節転移を伴う悪性度の高い予後不良な疾患と言われているが、大腸での報告は少ない。医中誌Webで「micrpapillary carcinoma」「大腸癌」およびPubMedで「micropapillary carcinoma」「colon」をkeywordに検索したところ、本邦での報告は自験例を含めて26例であった。記載のあった21例全例にリンパ管侵襲を認めた。リンパ節転移は19例にあり、そのうち3例は原発巣の深達度がsmであった。また、手術時に早期癌であった2例で術後早期に遠隔転移が出現しており、悪性度の高さがうかがえた。IMPCでは、リンパ節郭清の徹底、早期癌でも術後補助化学療法施行の検討、厳重な経過観察が必要であり、根治切除困難な遠隔転移を有する症例に対しては積極的な化学療法の施行と共にQOL向上を目指した緩和ケアが必要であると思われた。 |
索引用語 |
大腸癌, invasive micropapillary carcinoma |