セッション情報 |
一般演題(専修医(卒後3-5年))
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タイトル |
O-016:膵神経内分泌腫瘍に甲状腺髄様癌を合併した1例
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演者 |
島田 麻里(福井県済生会病院 外科) |
共同演者 |
寺田 卓郎(福井県済生会病院 外科), 加藤 成(福井県済生会病院 外科), 宗本 義則(福井県済生会病院 外科), 三井 毅(福井県済生会病院 外科) |
抄録 |
【はじめに】甲状腺髄様癌は全甲状腺癌の約2%と稀な内分泌疾患であるが、今回われわれは膵神経内分泌腫瘍に甲状腺髄様癌を合併した1例を経験したので報告する。【症例】症例は62歳、女性。家族歴は特になし。糖尿病、高血圧で通院中、上気道炎症状の精査目的のCTで偶然、膵体部腫瘍を指摘された。腫瘍マーカーはCEA 37.28ng/mlと高値であった。腹部単純CTで膵体部の膵実質内に29×25×25mmの類円形の低吸収腫瘍を認め、造影CTでは造影早期から遅延相にかけて内部が不均一に造影され、一部隔壁様の構造物を認めた。MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で高信号で隔壁様構造を伴う嚢胞性病変が疑われた。ERCPでは膵体部に膵管の平滑な圧排所見を認めた。PET-CTでは膵体部腫瘤にSUVmax14.4→18.6の高集積を認めた。また、甲状腺左葉にSUVmax3.7の軽度集積を認めた。エコーで甲状腺左葉に13×12×16mmの低エコー腫瘤を認め、穿刺吸引細胞診で髄様癌と診断した。CEA高値、カルシトニン1320pg/mlと高値であり、髄様癌に矛盾しない所見であった。膵体部腫瘍は膵管と交通を有さない多房性嚢胞性腫瘍であり、serous cystic neoplasm(SCN)やmucinous cystic neoplasm(MCN)が考えられたが、鑑別として内分泌腫瘍の嚢胞変性も考えられた。まず膵腫瘍に対し、腹腔鏡下尾側膵切除、脾合併切除術を施行した。病理組織学的検査では膵腫瘍は小型細胞の胞巣状増生からなり、免疫染色でシナプトフィジン+、CD56+であり、神経内分泌腫瘍NET G1(核分裂像<2/10HPF、Ki67<2%)と診断した。甲状腺腫瘍は後日左葉峡部切除術施行し、病理組織学的に髄様癌と診断した。術後、CEAとカルシトニンは正常化した。RET遺伝子変異は陰性であり、散発性の甲状腺髄様癌と考えられた。本例では多発性内分泌腫瘍(MEN)には相当せず、散発性に膵内分泌腫瘍と甲状腺腫瘍が発症したものと考えられた。 |
索引用語 |
膵神経内分泌腫瘍, 甲状腺髄様癌 |