セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-017:

ステロイドが著効した嚥下障害を伴う好酸球性食道炎の1例

演者 齊藤 恭志(公立小浜病院 消化器内科)
共同演者
抄録 2013年3月末頃より嘔気と食欲不振を認めたため当院を受診した。血液検査では明らかな異常は認めず、上部内視鏡検査では胃食道逆流症を疑う所見を認めた。PPIを処方され経過観察となったが、症状は改善せず、経口摂取不良、嚥下障害を認めたため精査加療目的に入院となった。【検査結果及び入院後経過】血液検査では好酸球分画の上昇(11.0%)を認めた。上部内視鏡検査では上部食道より粘膜の小白斑や縦走溝を認めた。また、中部食道以遠は粘膜浮腫状であり、下部食道では輪状溝も認めた。食道粘膜生検では上皮内に20個/HPF以上の好酸球浸潤を認めた。また、胸部CT検査では明らかな腫瘤やリンパ節腫大は認めなかったが、食道全体に全周性の壁肥厚を認めた。臨床症状と検査所見より好酸球性食道炎と診断しプレドニン30mg/日より開始したところ、嚥下障害は速やかに改善し、投与7日目には好酸球分画は正常化した。その後、症状は寛解し投与14日目のCTでも壁肥厚の改善を認めたため、以後プレドニンを減量して開始26日目に15mg/日まで漸減して退院となった。その後も外来で経過観察を行いつつプレドニン漸減し、開始63日目に投与終了後、約3ヵ月経過するが、症状の再燃なく経過良好である。【考察】好酸球性食道炎は有病率の低い疾患とされてきたが近年増加傾向にあるとされている。本邦では2006年に初めての症例報告がなされている。治療としてPPIは無効であり、グルココルチコイド製剤が有効であるとされており、治療指針にもプレドニゾロン内服あるいはフルチカゾン内服が推奨されているが、投与量、減量スピードや中止の時期、再発、再燃時の対応についてはまだ議論の余地がある状態である。今回、ステロイド投与が著効し漸減と中止後も再発や再燃することなく経過良好である症例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 好酸球性食道炎, ステロイド