セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-018:

肝膿瘍治療中に眼内炎を併発した2例

演者 松川 弘樹(黒部市民病院 胃腸科)
共同演者 浦田 隆正(黒部市民病院 胃腸科), 冨田 学(黒部市民病院 胃腸科), 上山本 伸治(黒部市民病院 胃腸科), 中浜 亨(黒部市民病院 胃腸科)
抄録 【症例1】75歳 男性【既往歴】74歳 肺扁平上皮癌 放射線治療【嗜好歴】飲酒4合/週4、喫煙 40本/日【現病歴】2型糖尿病、高血圧症、慢性心房細動、陳旧性脳梗塞にて内科へ通院加療中。2011年8月13日未明より発熱、呼吸困難感を認め救急搬送。採血にてAST 86U/L、ALT 73IU/L、CRP 22.95mg/dlと肝酵素および炎症反応の高値を呈していた。発熱、炎症反応高値の精査目的に入院。【入院後経過】入院後、CTにて肝膿瘍と診断し、抗生剤(MEPM 2.0g/day)加療を開始。第4病日には経皮的膿瘍ドレナージを施行された。第5病日より左眼痛および結膜充血、腫脹が出現し、眼科受診のうえ左眼内炎と診断され、硝子体手術目的に転院。手術時に角膜周囲膿瘍、角膜融解を認め、手術は中止となり保存的加療を継続。肝膿瘍については改善が得られたが、左失明となった。
【症例2】88歳 女性 【既往歴】特記事項なし【嗜好】飲酒なし、喫煙なし【現病歴】高血圧症、脂質異常症、慢性心房細動にて当院内科通院加療中。2013年2月8日より悪寒、38℃台の発熱を認め、葛根湯の内服を行うも発熱が持続し同年2月12日当院内科外来を受診。採血上AST 121U/L、ALT 73IU/L、ALP 364IU/L、CRP 32.63mg/dlと肝胆道系酵素、炎症反応の高値を認めた。また、腹部エコーにて右葉に境界不明瞭な不均一低エコー腫瘤を、CTにて肝S8に不整な嚢胞性腫瘤を認め、肝膿瘍の診断で入院。【入院後経過】入院後抗生剤投与(SBT/CPZ 4.0g/day)および第3病日には経皮的膿瘍ドレナージも施行。第5病日より左の視力障害を認め、眼科受診し、細菌性眼内炎と診断。抗生剤をIPM/CS 1.5g/dayへ変更し、第7病日転院の上硝子体手術を施行されたが、視力障害に関しては改善認めず、左失明となった。肝膿瘍に関しては改善が得られていた。【結語】肝膿瘍に合併した眼内炎は糖尿病など基礎疾患を有する例に発症する事が多い。今回肝膿瘍に合併した眼内炎の2症例を経験したため、若干の文献的考察を踏まえ報告する。
索引用語 肝膿瘍, 眼内炎