セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-019:

C型肝硬変を合併した局所進行膵癌に対してS-1併用化学放射線療法を行った一例

演者 太田 亮介(石川県立中央病院 消化器内科)
共同演者 竹田 康人(石川県立中央病院 消化器内科), 朝日向 良朗(石川県立中央病院 消化器内科), 中西 宏佳(石川県立中央病院 消化器内科), 辻 国広(石川県立中央病院 消化器内科), 稲垣 聡子(石川県立中央病院 消化器内科), 冨永 桂(石川県立中央病院 消化器内科), 吉田 尚弘(石川県立中央病院 消化器内科), 辻 重継(石川県立中央病院 消化器内科), 竹村 健一(石川県立中央病院 消化器内科), 山田 真也(石川県立中央病院 消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院 消化器内科)
抄録 【症例】66歳女性【現病歴】C型慢性肝炎の診断で1998年よりインターフェロンを導入したが、薬疹にて中止となり、肝庇護剤で加療したが肝硬変に至った。2012年5月より3週間続く上腹部痛認め6月に当科受診となった。腹部CT検査で膵鉤部に上腸間膜動脈浸潤を伴う膵腫瘤を認め、精査加療目的に入院となった。【経過】腹部CTおよびPET-CTでUICC 分類cT4N0M0の膵癌と診断した。肝予備能はChild-Pugh分類Aと保たれていた。本人と十分な相談がなされ、S-1併用化学放射線療法が選択された。肝硬変合併を考慮し、S-1内服を一段階減量(60mg/m2=80mg/body)して開始した。有害事象軽減の為、放射線療法はIMRT(2.3Gy×26回)を併用した。2コース目終了後の腹部CT検査による治療効果判定はSDであり、S-1内服(60mg/m2=80mg/body, 4投2休)を継続した。3コース目終了後にG3の好中球減少を認め、減量(50mg/body, 3投2休)して再開した。4コース目終了後に脳症をきたし、Child-Pugh分類Bへと悪化を認めた。脳症改善後にインフォームドコンセントを行った上で、5コース目を再開した。6コース終了後、2013年5月の腹部CTで腫瘍の増大と肝不全の進行を認めBSCの方針となった。【考察】一般に肝障害合併例にS-1を通常用量で使用した場合、5-FU濃度が高値で推移し、肝障害を助長する可能性があるが、本例では減量により安全に化学放射線療法を施行し得た。低用量60mg/body/dayのS-1投与でも有効血中濃度が得られるとの報告もあり、全身状態を考慮した上で、治療選択とすべきと考える。肝硬変合併例に対する化学放射線療法の報告は少なく、貴重な症例と考え報告する。
索引用語 化学療法, 肝硬変