セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル O-021:

十二指腸水平脚悪性狭窄に対して十二指腸ステントを留置した2例

演者 平川 祐希(金沢市立病院 消化器内科)
共同演者 稲田 悠記(金沢市立病院 消化器内科), 野村 能元(金沢市立病院 消化器内科), 辻 宏和(金沢市立病院 消化器内科)
抄録 消化管におけるステント留置は狭窄病変に対する低侵襲治療のひとつである。2010年悪性胃十二指腸狭窄において経内視鏡的十二指腸ステント留置が保険収載されて以降広く行われる様になった。しかしながら水平脚狭窄に対するステント留置は比較的少なく、また原疾患は膵癌や胃癌が多い。今回我々は原発性十二指腸癌や後腹膜腫瘍による十二指腸水平脚悪性狭窄に対して、ステント留置術を施行した2例を経験したので報告する。【症例1】80代男性。2013年4月原発性十二指腸水平脚癌による腸閉塞症状を認め入院となった。明らかな転移性病変は認めなかったが、認知症や高度の低蛋白血症があり、根治的手術や胃空腸バイパス吻合術は困難と判断し、十二指腸水平脚にメタリックステント(EMS)を挿入した。狭窄部は7cm程度で、through-the-scope(TTS法)にてWallFlex Duodenal(22mm×9cm)を留置した。嘔気、嘔吐は消失し、ミキサー食摂取が可能となった。【症例2】80代女性。2013年7月後腹膜腫瘍による十二指腸水平脚部の壁外圧排から腸閉塞症状を認め入院となった。高齢であることやADL低下、高度の心不全から、胃空腸バイパス吻合術は困難と判断し、十二指腸水平脚にEMSを挿入した。狭窄部は9cm程度で、TTS法にてNiti-S胃十二指腸用ステント(22mm×12cm)を留置した。その後ミキサー食摂取にて、ステント内の食物残渣停滞による腸閉塞症状を認めたが、絶食管理にて改善した。現在は流動食摂取が可能である。十二指腸悪性狭窄に対するEMS留置は外科的バイパス術と比して低侵襲であり、またTTS法によるEMS留置はover-the-wire(OTW法)と比して留置が簡便になり、所要時間も短縮された。十二指腸水平脚へのEMS留置について、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 十二指腸ステント, メタリックステント