セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-023:

全身化学療法が奏功した結腸原発neuroendocrine carcinoma(NEC)の一例

演者 大村 仁志(市立砺波総合病院 消化器科)
共同演者 稲邑 克久(市立砺波総合病院 消化器科), 高田 佳子(市立砺波総合病院 消化器科), 岡村 利之(市立砺波総合病院 消化器科), 河合 博志(市立砺波総合病院 消化器科), 杉口 俊(市立砺波総合病院 臨床病理科), 寺畑 信太郎(市立砺波総合病院 臨床病理科)
抄録 【症例】70代男性【主訴】下痢【現病歴】平成24年5月、十二指腸潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎のため、腹腔鏡下十二指腸穿孔部縫合大網被覆術を施行した。退院後から徐々に下痢の頻度が増加したため、平成25年2月に当院外来を受診した。その際に、臍上部に20mm大の皮下腫瘍を触れ、CTで肝腫瘤、全身性多発リンパ節腫脹、右肺腫瘤、腹膜播種、腹水を認めた。皮下腫瘤の摘出術および、原発巣検索目的の大腸内視鏡検査で指摘した上行結腸の潰瘍を伴う腫瘍から生検を行った。組織学的には、小型の腫瘍細胞が胞巣状・索状構造を呈し、一部僅かに管状構造を有する低分化癌の像を認め、免疫染色で神経内分泌マーカー(CD56、synaptophysin)が陽性かつ、MIB-1染色によるKi67標識率は90~100%を示した。腫瘍マーカーは、NSEが29.3ng/ml、Pro-GRPが130pg/mlと高値であった。以上より、結腸原発のneuroendocrine carcinoma(small cell type)と診断した。下痢に関しては、1日3~5行でカルチノイド症候群が疑われたが、尿中5-HIAAは2.3mg/dayと正常であった。【経過】全身化学療法としてシスプラチン+イリノテカンを7月までに計4クール施行したところ、肝・肺・リンパ節転移巣と腹膜播種巣は縮小しPRを維持している。しかし、肝転移巣は一旦縮小した後に、増大傾向を呈しつつあり、慎重に経過を観察しながら化学療法を継続している。【考察】大腸原発のneuroendocrine carcinoma(NEC)は、全大腸癌の0.2%と稀な疾患である。遠隔転移を伴うNECに対しては、小細胞肺癌に準じた化学療法が推奨されているが、治癒が得られることは極めて稀であり、予後不良とされている。本症例は全身化学療法が奏功している一例であり、若干の文献的考察を交えて報告する。
索引用語 NEC, 結腸