セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-030:

小腸内視鏡検査にて術前に診断しえた小腸海綿状血管腫の1例

演者 赤澤 悠(福井大学医学部附属病院 消化器内科 )
共同演者 平松 活志(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 野阪 拓人(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 濱本 愛子(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 高橋 和人(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 松田 秀岳(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 大谷 昌弘(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 根本 朋幸(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 須藤 弘之(福井大学医学部附属病院 消化器内科 ), 中本 安成(福井大学医学部附属病院 消化器内科 )
抄録 【症例】64歳 女性。【主訴】黒色便。【既往歴】虫垂炎、子宮筋腫、関節リウマチ。【現病歴】2013年3月より黒色便を自覚し、近医にて上部及び、下部消化管内視鏡検査を施行したが、活動性出血は認めなかった。その後も黒色便が持続し、精査加療目的で当科紹介受診した。【検査結果及び入院後経過】入院後、Hb 6.7g/dlと貧血を認め、濃厚赤血球2単位を輸血した。腹部CT検査では、骨盤内小腸に造影効果の遷延する病変を認めた。小腸病変を疑いカプセル内視鏡検査を施行したところ空腸に15mm大の赤褐色調の類円形の腫瘍性病変を認めた。さらなる精査のため、経口的小腸内視鏡検査を施行したところ、トライツ靭帯から約1.5m肛門側の深部空腸に約15mm大の粘膜下腫瘍様病変を認めた。肉眼所見では色調は青色から暗赤色を呈しており、表面は正常粘膜で覆われ、一部に粘膜の破綻と血液付着を認めた。内視鏡下ガストログラフィン造影では表面平滑な腫瘤として同定された。さらに、腹部血管造影検査を施行したが、動静脈奇形などの血管性病変に特異的な所見は得られなかった。以上より、小腸内視鏡所見と合わせて小腸血管腫と診断し、腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行。弾性軟で青色から暗赤色調の1.3×1.0cmの腫瘤を摘出した。病理学的には粘膜下層に静脈が比較的均一に分布する血管増生を認め、小腸海綿状血管腫と診断された。【考察】小腸海綿状血管腫は小腸良性腫瘍の中でも稀な疾患である。時に消化管出血の原因となりうるが、ある程度の持続的な出血がなければ術前に同定し、診断することは困難とされてきた。今回、原因不明の消化管出血において、小腸内視鏡検査で特徴的な所見を認め、術前に診断しえた小腸海綿状血管腫の1例を経験したため文献的考察を加えて報告する。
索引用語 小腸内視鏡, 小腸海綿状血管腫