セッション情報 一般演題

タイトル O-031:

ニフレック配合内用剤服用後に低ナトリウム血症による意識障害を来した2例

演者 朝日向 良朗(石川県立中央病院 消化器内科)
共同演者 竹村 健一(石川県立中央病院 消化器内科), 太田 亮介(石川県立中央病院 消化器内科), 竹田 康人(石川県立中央病院 消化器内科), 中西 宏佳(石川県立中央病院 消化器内科), 辻 国広(石川県立中央病院 消化器内科), 稲垣 聡子(石川県立中央病院 消化器内科), 富永 桂(石川県立中央病院 消化器内科), 吉田 尚弘(石川県立中央病院 消化器内科), 辻 重継(石川県立中央病院 消化器内科), 山田 真也(石川県立中央病院 消化器内科), 岡田 俊英(石川県立中央病院 総合診療科), 土山 寿志(石川県立中央病院 消化器内科)
抄録 【背景】経口腸管洗浄剤ニフレック配合内用剤(以下ニフレック)は,全大腸内視鏡検査(TCS)の前処置の際に投与され,良好な洗浄効果や安全性のため広く普及している.しかし,溶解後2-4L程度の服用量となり,さらに味による飲みにくさのため,しばしば服用時に嘔気・嘔吐を引き起こす.添付文書には「嘔吐によって低Na血症をきたし,意識障害,痙攣等があらわれることがある」と記載があるが,その報告は少ない.当院で最近経験したニフレック服用後に低Na血症による意識障害を来した2例を報告する.【症例1】72歳男性,心房細動で通院中.早期胃癌を指摘され2011年6月28日に内視鏡的粘膜下層剥離術を施行. 7月4日にスクリーニング目的でTCSを施行したが,検査後にJCS3の意識障害,振戦が出現し,血清Na115mEq/Lと著明な低下を認めた.血漿および尿浸透圧の低下を認め,頭部CTや各種ホルモン検査では異常を認めなかった.ニフレック服用後に嘔吐しその後5L飲水していた経過から,嘔吐による腎外性Na喪失と大量飲水による血漿の希釈が低Na血症を引き起こしたものと考えられた.電解質補正を含む治療にて症状およびNa値は速やかに改善し,5日後に退院となった.【症例2】68歳男性,前立腺癌および好酸球増多症にて通院中.2012年9月12日にスクリーニング目的でTCSを予定しニフレックを服用したが,直後に嘔吐しその後4L飲水した.その後,問題なく検査を終え帰宅したが,直後にめまいとJCS3の意識障害を認め救急搬送.血清Na121mEq/Lと低下を認め、その他の検査所見等から,ニフレックによる低Na血症と診断した.加療により速やかに改善し第6病日に退院となった.【考察】ニフレックによる低Na血症および意識障害は稀な偶発症だが,短時間での大量投与は胃内圧上昇により嘔気・嘔吐を誘発することがあるため,その予防として時間をかけ最小限の飲水量で服用する必要がある.また,先日承認されたモビプレップ配合内用剤であれば,平均服用量1.6L程度と少なくてすみ,味の改良により服用しやすいとされ,このような偶発症が起こりにくい可能性が考えられた.
索引用語 ニフレック配合内用剤, 低ナトリウム血症