セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル O-032:

EUS-FNAで確定診断し得た胆嚢癌の1例

演者 小林 拓(富山県立中央病院 消化器内科)
共同演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院 消化器内科), 織田 典明(富山県立中央病院 消化器内科), 須田 烈史(富山県立中央病院 消化器内科), 米島 淳(富山県立中央病院 消化器内科), 原 泰将(富山県立中央病院 消化器内科), 在原 文教(富山県立中央病院 消化器内科), 堀田 洋介(富山県立中央病院 消化器内科), 松田 充(富山県立中央病院 消化器内科), 酒井 明人(富山県立中央病院 消化器内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院 消化器内科)
抄録 【症例】84歳女性【主訴】便秘【既往歴】虫垂炎、高血圧【家族歴】父:脳卒中、弟:胃癌【嗜好歴】飲酒・喫煙習慣なし【現病歴】2012年4月から便秘を認めており近医検査にて便潜血陽性であったため、同年8月に精査加療目的に当院消化器内科紹介受診となった。【身体所見】眼瞼結膜貧血あり、腹部平坦・軟、圧痛・自発痛なし、腫瘤触知せず【検査所見】Hb:8.8g/dl、CEA:20.3ng/ml、CA19-9:27.7U/ml【経過】当院で施行した単純CTでは上行結腸壁肥厚および胆嚢壁肥厚が指摘された。上行結腸壁肥厚に対して行われた下部消化管内視鏡では、上行結腸肝彎曲付近に全周性の不整な2型腫瘍認めた。FDG/PET-CTでは上行結腸に加え、胆嚢全体にFDG異常集積(SUV最大値:早期像9.2、後期像9.1)を認めた。胆嚢に関しては炎症病変、悪性腫瘍いずれも考えられる所見であった。胆嚢病変評価のために行った胆嚢ダイナミックMRIでは胆嚢体部から底部の壁肥厚を認めたが、均一な壁肥厚であり粘膜面に不整が目立たず、良性病変の疑いであった。胆嚢の更なる評価必要と考えられEUS-FNAを施行した。EUSでは胆嚢の壁は偏在性に肥厚していたが、均一に肥厚しており、内部エコーも均一であった。この所見より胆嚢腺筋症が疑われたが、胆嚢癌除外目的に充実部の穿刺を行った。穿刺細胞診では悪性が示唆される腺系異型細胞の出現が指摘された。同時に提出した組織診でも胆嚢癌に矛盾しない所見であった。上行結腸癌に対する切除術前にこの結果が指摘されたため術式を変更、手術では胆嚢摘出も同時に施行された。術後の病理所見は大腸癌:pT4a,pN1a,pM0,stageIIIB、胆嚢癌:pT3,pN1,pM0,stageIIIであった。【結語】CT、PET、MRIにて診断が困難であった胆嚢病変をEUS-FNAにて癌と確定診断し得た一例を経験した。胆嚢癌におけるEUS-FNAの有用性について若干の文献的考察を交えて報告する。
索引用語 EUS-FNA, 胆嚢癌