セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | O-036:特異な画像所見を呈しステロイド投与が有効であった薬剤性重症肝障害の一例 |
演者 | 有塚 敦史(福井県立病院 消化器内科) |
共同演者 | 青柳 裕之(福井県立病院 消化器内科), 濱本 愛子(福井県立病院 消化器内科), 内藤 慶英(福井県立病院 消化器内科), 藤永 晴夫(福井県立病院 消化器内科), 林 宣明(福井県立病院 消化器内科), 波佐谷 兼慶(福井県立病院 消化器内科), 辰巳 靖(福井県立病院 消化器内科), 伊部 直之(福井県立病院 消化器内科), 海崎 泰治(福井県立病院 臨床病理科) |
抄録 | 【背景】今回、ステロイド投与にて改善が認められ、特異的な画像所見を呈した薬剤性重症肝障害の一例を経験したため報告する。【症例】症例は51歳の男性。肝疾患の既往は認められなかった。飲酒は機会飲酒であり、常用薬の内服はなかった。20XY年2月中旬に歯周炎に対し、鎮痛剤と抗生剤が投与された。3月初旬より左背部痛が認められ近医を受診し、血血検査にて肝胆道系酵素の上昇が認められ当科紹介入院となった。【結果】血液検査所見にてビリルビン、肝胆道系酵素の上昇が認められた。ウイルスマーカーは陰性であった。抗核抗体は80倍であり、IgGの高値を認め、AIH国際診断基準では6点(probable AIH)であった。DLST検査にてロキソプロフェンナトリウム、セフテラムピボキシルがともに陽性であり、DDW-J2004薬剤性肝障害ワークショップのスコアリングが10点であったため、薬剤性肝障害と診断した。入院後、保存的加療で経過観察していたが改善を認めなかったため、肝生検が施行された。肝組織所見では薬剤性肝障害に矛盾しない所見が得られた。肝庇護剤による薬物療法と血漿交換が施行され、肝機能の改善を認めたが再増悪が認められたため、ステロイドパルス療法が施行された。PSLにてステロイド減量療法へ移行し再燃なく経過したため退院となった。【結論】薬剤性肝障害の成因は中毒性と特異体質性に分類され、後者はさらにアレルギー性と代謝性に分類される。起因薬剤として本症例で疑われたロキソプロフェンナトリウム又はセフテラムピボキシルによるものはともにアレルギー性機序によるものと考えられている。重症、劇症例を放置した場合の致命率は高く、より早急に適切な治療を行う必要があると考えられる。本症例のようにアレルギー機序による薬剤性重症肝障害に対してはステロイド投与が著効することがあり、その一例を経験したためここに報告する。 |
索引用語 | 重症肝障害, 治療 |