セッション情報 一般演題

タイトル O-038:

肝偽リンパ腫の一例

演者 守護 晴彦(市立敦賀病院 消化器科)
共同演者 方堂 祐治(市立敦賀病院 消化器科), 米島 學(市立敦賀病院 消化器科)
抄録 【症例】70歳代,女性【既往歴】23歳 扁桃摘出術、42歳 卵巣、子宮摘出術【家族歴】特記事項なし【嗜好】飲酒歴なし、喫煙歴なし【現病歴】当院にC型慢性肝炎、高血圧のために通院していた。2011年12月腹部造影CT検査にて肝S3に10mm大の単純で低吸収、造影早期相で等吸収、後期相で低吸収を呈する占拠性病変を指摘された。同病変は腹部超音波検査では低エコーであった。MRI検査ではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,拡散強調像で高信号、Gd-EOB-MRI検査の肝細胞相では低信号を呈していた。血管造影検査ではCTAPにて門脈血流欠損、CTHAでは早期相でやや不均一に濃染し、後期相にてコロナ様のリング状濃染を呈していた。また病変近傍に5mm大の同様の造影パターンを呈する占拠性病変を認めた。血液検査ではAFP、PIVKA-IIの上昇は伴わなかったが画像上は肝細胞癌(T2N0M0、stageII)が疑われ、本人に病状説明したところ外科的切除を希望された。2012年4月に開腹下に肝左葉切除術、胆嚢摘出術を施行し、術後経過は良好であり、第23病日に退院した。病理組織診断では背景肝はC型慢性肝炎、F1A2であり、肝S3には7mm大、3mm大の白色結節を認め、同病変部にはリンパ濾胞の集簇を認めた。リンパ濾胞は正常なT細胞(CD3)、B細胞(CD79a、CD20)分布を示し、濾胞性樹状細胞(CD35、CD21)も芽中心に分布しており、CD10陽性領域の芽中心にもBcl-2の発現はなく、偽リンパ腫と診断した。肝偽リンパ腫は稀な疾患であり、肝細胞癌との鑑別が困難な画像を呈することが多い。若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝偽リンパ腫, C型慢性肝炎