セッション情報 一般演題

タイトル O-041:

腹腔鏡下開窓術で治療した肝嚢胞の3例

演者 黒川 勝(石川県立中央病院 消化器外科)
共同演者 佐藤 礼子(石川県立中央病院 消化器外科), 北村 祥貴(石川県立中央病院 消化器外科), 奥出 輝夫(石川県立中央病院 消化器外科), 森山 秀樹(石川県立中央病院 消化器外科), 小竹 優範(石川県立中央病院 消化器外科), 稲木 紀幸(石川県立中央病院 消化器外科), 伴登 宏行(石川県立中央病院 消化器外科), 山田 哲司(石川県立中央病院 消化器外科)
抄録 肝嚢胞は治療の対象となることは少ないが,巨大化し腹痛などの自覚症状が出現した場合や,感染あるいは出血を合併した場合には治療が必要である.我々は手術療法が必要となり,腹腔鏡下開窓術で治療した肝嚢胞3例を経験したので報告する.症例1は64歳,女性.全身倦怠感,食欲低下を主訴に前医より紹介された.採血上,WBC12,600/μl,CRP 41.1mg/dlと高値を示し,CT検査で肝左葉に約10cm大の嚢胞を認め,感染性肝嚢胞と診断した.ドレナージ後,腹腔鏡下開窓術を施行した.症例2は53歳,女性.10年以上前より肝嚢胞を指摘されていたが,自覚症状なく経過観察されていた.しかし,体動時の心窩部痛が出現し,画像上嚢胞の大きさも約8cmと増大しているため,当科紹介となり腹腔鏡下開窓術を施行した.症例3は43歳,女性.腹痛を主訴に来院され,肝嚢胞を指摘された.嚢胞は多発していたが,症状の原因となっていると思われる両葉の巨大嚢胞を1個ずつドレナージを施行した.右葉のドレーンは自然に脱落したが,左葉のドレーンよりミノサイクリンを注入しドレーンを抜去した.しかし,両葉とも再増大し腹痛が出現してきたため,腹腔鏡下開窓術を施行した.3例とも術後経過は良好であり,早期再発は認めていない.肝嚢胞の治療は非手術療法と手術療法に大別される.一般に非手術療法は簡便で低侵襲であるが,副作用がありうること,長期入院を要すること,再発率が高いことなどが欠点である.一方,手術療法は再発率は低いが,良性疾患に対する侵襲としてはやや過大侵襲であるかもしれない.その両者を考慮した方針として,腹腔鏡下手術は理想的であり,症例は多くないが最近では第一選択の治療と考えている.
索引用語 肝嚢胞, 腹腔鏡下開窓術