セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-045:

5-ASA製剤によると考えられた薬剤性急性間質性腎炎の一例

演者 鳥居 志充(福井赤十字病院 消化器科)
共同演者 山崎 幸直(福井赤十字病院 消化器科), 道上 学(福井赤十字病院 消化器科), 里見 聡子(福井赤十字病院 消化器科), 松永 心祐(福井赤十字病院 消化器科), 三原 美香(福井赤十字病院 消化器科), 原 季衣(福井赤十字病院 消化器科), 西山 悟(福井赤十字病院 消化器科), 谷川 明希子(福井赤十字病院 消化器科)
抄録 症例は29歳、男性。2012年6~8月に血便、軽度下痢あり、近医での加療にて軽快していた。2013年6月に入ったころより腹痛、血便、水様便を認めるようになり紹介医を受診した。上部消化管内視鏡検査では発赤の強い胃炎を認めた。下部消化管内視鏡検査では直腸に粘膜肥厚を伴うびらん、発赤、、血管透見不良像を認め、潰瘍性大腸炎が疑われた。そのためアサコール®3600mg投与が開始されたが症状の改善がみられなかったため、精査加療目的に当科紹介受診となった。当院下部消化管内視鏡検査では全大腸にわたり発赤、びらん、潰瘍を認めた。ところどころに正常粘膜も介していたが、経過からは潰瘍性大腸炎が疑われたためアサコール®継続に加えて、L-CAPも併用した。また、感染性腸炎も否定できなかったためレボフロキサシン(クラビット®)を追加投与した。2回目のL-CAP後より38℃台の発熱を認めた。身体所見、血液尿検査所見から腎盂腎炎と診断し、クラビット®を再処方したが嘔気のため服用できず、セフトリアキソンを開始した。数日の経過で症状の改善を認めなかったため造影CTを施行したところ両側腎盂腎炎あるいは間質性腎炎の所見を認めた。薬剤性急性間質性腎炎が疑われたためプレドニン40mgの投与を開始し、腎生検も施行した。腎生検では尿細管間質性腎炎の所見であり、薬剤性急性尿細管間質性腎炎と考えられた。被疑薬はクラビット®、アサコール®が挙げられた。DLSTでは陰性であったが、発症時にはクラビット®は投与中止しており、アサコール®による間質性腎炎と考えられた。プレドニン投与後、身体所見、血液検査所見は速やかに改善し、漸減しても腹部症状の再燃は認めなかった。5-ASAによる腎障害の頻度は低いが知っておくべき副作用と考えられたため、報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 5-ASA