セッション情報 シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S2-014:

切除不能悪性中下部胆道狭窄に対する1期的self-expandable metallic stent留置の有用性

演者 清水 周哉(名古屋市立大学大学院 消化器・代謝内科学)
共同演者 内藤 格(名古屋市立大学大学院 消化器・代謝内科学), 中沢 貴宏(名古屋市立大学大学院 消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】近年の画像診断能の向上により、胆道ドレナージ前における腫瘍進展度診断が可能となり、切除不能悪性中下部胆道狭窄に対する1期的なself-expandable metallic stent (SEMS)留置を施行する機会が多くなっている。また、切除不能悪性中下部胆道狭窄を有する患者にとって、早期の化学療法導入や、入院期間の短縮が重要となってきている。今回我々は、1期的SEMS留置の有用性を明らかにする目的で、早期の臨床成績について、2期的SEMS留置と比較検討を行った。【方法】2004年から2012年の間に、当院にて経乳頭的に1期的SEMS留置を施行した切除不能中下部悪性胆道狭窄40例と、2期的SEMS留置を施行した52例を対象として、以下の項目につき検討を行った。1)早期合併症(ERBD・ENBDまたはSEMS留置後1ヶ月以内のステント機能不全、逆行性胆管炎、膵炎、胆嚢炎)、2)総ビリルビン<3mg/dL までの期間(化学療法が可能となるまでの期間。処置前の総ビリルビン>3mg/dL で、初回ドレナージ後1ヶ月以内に<3mg/dL となった症例)、3)入院期間(全体・化学療法非施行群の初回ドレナージから退院までの期間)。尚、2期的SEMS留置は第1ドレナージ(ERBD またはENBD)、第2ドレナージ(SEMS)に分けて検討した(初回ドレナージ:1期的ではSEMS、2期的ではERBD・ENBD)。【成績】1)Totalの早期合併症の頻度は2期的SEMS第2ドレナージと比べて、1期的SEMSで有意に高率であったが(42.5% [17/40] vs. 13.5% [7/52]; P =0.004)、2期的SEMS全体(第1+第2ドレナージ)と比べると、差を認めなかった(42.5% [17/40] vs. 36.5% [19/52]; P =0.561)。2)T-Bil<3 mg/dLまでの期間は1期的SEMSで有意に短かった(5.7 vs 10.1 日;P=0.025)。3)化学療法非施行例での入院期間は1期的SEMSで有意に短かった(22.2 vs. 37.3 日; P = 0.004)。【結論】1期的SEMS留置は2期的SEMS留置と比較して、早期合併症の頻度は同等で、化学療法開始に必要な減黄期間が短く、また化学療法非施行群においても入院期間が短くなるため、有用な方法であると考えられた。
索引用語 1期的, self-expandable metallic stent