セッション情報 一般演題

タイトル O-077:

ダブルバルーン内視鏡、ステントリトリーバーが有用であった胆管癌術後再発胆管狭窄の1例

演者 井上 匡央(岐阜県立多治見病院 消化器内科)
共同演者 奥村 文浩(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 鈴木 雄太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 市川 紘(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 福定 繁紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 加地 謙太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 安部 快紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 岩崎 弘靖(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 西江 裕忠(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 西 祐二(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 水島 隆史(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 佐野 仁(岐阜県立多治見病院 消化器内科)
抄録 【背景】近年,術後再建腸管に対するERCPにおいてダブルバルーン内視鏡(DBE)の有用性が報告され,当院でも2006年より導入し,積極的に施行している。しかし専用の処置具が整備されているわけではなく,開口部に到達しても処置の完遂が困難な症例も存在する。今回,胆管癌術後再発による高度胆管狭窄に対して,DBE下でのCook社製Soehendra Stent Retriever(SSR)を用いた狭窄解除が奏功し,内視鏡的ドレナージが可能となった症例を経験したので報告する。【症例】66歳,男性。1年前に下部胆管癌に対しSSPPDを施行,再発なく経過していたが,平成25年2月,発熱,右季肋部痛を認め当科受診となった。血液検査では炎症反応と肝胆道系酵素の上昇を認めた。造影CTでは肝門部に胆管癌再発を認め,同部より上流の肝内胆管の拡張,また約35mm大の肝膿瘍を認めた。経皮的肝膿瘍ドレナージを施行し速やかに症状,炎症反応は改善した。ドレナージルートを介して,経皮的に胆管狭窄部の処置を考慮したが困難であり,経口的に行う方針とした。DBEを挿入し胆管空腸吻合部に到達すると,胆管内は充実性腫瘤で覆われていた。造影すると約1cm程の不整狭窄を認め,上流胆管は拡張し泣き別れていた。 狭窄部は0.025inchガイドワイヤーは突破可能であったが,カニューレは通過できず,胆管拡張ダイレーターも全く挿入出来なかった。そこでSSRによる狭窄解除を試みた。有効長不足に対しては,鉗子口キャップを切断し,根元まで挿入することで到達可能であった。時計回りに回転させ徐々に進めることで狭窄解除し得た。7Fr×5cmストレートステントを左肝管、右前区域に留置し終了とした。ドレナージは良好であり,現在まで再燃なく化学療法施行中である。【考察】SSRはステント回収目的に開発された処置具だが,主に膵管狭窄の解除に対しても有用性が報告されている。本症例のような高度狭窄,DBEのためスコープが安定しないような状況下でも威力を発揮し,有用な選択肢の1つと考えられた。
索引用語 ステントリトリーバー, ダブルバルーン