セッション情報 一般演題

タイトル O-109:

当院における小腸カプセル内視鏡検査の現状

演者 藤塚 宜功(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター)
共同演者 大塚 裕之(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター), 水谷 泰之(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター), 石川 英樹(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター), 大宮 直木(名古屋大学大学院消化器内科学), 中村 正直(名古屋大学大学院消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院消化器内科学)
抄録 【目的】当院において約5年間に施行した小腸カプセル内視鏡検査(VCE)についての現状とNSAID、抗凝固剤内服症例においての異常所見の検討を行った。【対象と方法】観察期間は2008年4月から2013年1月とした。全件数は126件で症例数では112例、男性72例、女性50例で平均年齢は52.3±14歳であった。VCE検査目的として原因不明の消化管出血(OGIB)77件(61.1%)、貧血12例(9.5%)、腹痛9例(7.1%)、腸閉塞8例(6.3%)、その他が20例であった。出血の誘因となり得る薬物の投与歴は全47例(38%)に認め主なものは低用量アスピリンが22例、NSAID 13例、硫酸クロピドグレル7例、ステロイド剤内服を6例、ワルファリンカリウム5例、塩酸チクロピジン4例であった。【結果】全症例の有所見率は92.1%であった。OGIBの有所見率は97.4%であったがその他の検査目的例においても有所見率は83.7%と高かった。所見の内訳はred spot 48例、erosion 38例、lymphangiectasia 30例、angioectasia 22例、潰瘍 22例、出血10例、輪状狭窄9例、ポリープ6例、粘膜下腫瘍疑い6例、憩室2例、腫瘍2例、回虫、条虫がそれぞれ1例であった。薬物投与例の有所見率は93.6%であり薬物投与歴のない群との有所見率に差は認めなかった。NSAID内服例の有所見率は92.3%、低用量アスピリン内服例の有所見率は95.4%であった。薬物なし群と薬物投与群間のangioectasiaで有意差を、またNSAID群と薬物なし群間で有意差を、またNSAID群と薬物なし群間のerosionで有意差を認めた。有所見症例のうち精査が必要と考えられた17例を名古屋大学付属病院へ紹介しDBE(double balloon endoscopy)を施行。結果異常なしは3例、有所見率は82.4%であり内訳はクローン病4例、輪状潰瘍3例、ポリープ1例(Peutz-Jegher症候群)、小腸癌1例、MALTリンパ腫1例、脂肪腫1例、瘢痕1例他であり輪状潰瘍のうち2例はカプセルの小腸内停留を認めDBEにて回収した。【結論】当院におけるVCEの有所見率は一般的な報告と比較しても良好でありOGIB以外の目的においても高い有所見率が得られOGIB以外へのVCE適応の有用性が示唆された。
索引用語 小腸カプセル内視鏡, NSAID