セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-145:

C型肝硬変に合併した多発肝MALTリンパ腫の一例

演者 高川 友花(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科)
共同演者 川部 直人(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 橋本 千樹(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 原田 雅生(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 村尾 道人(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 新田 佳史(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 中野 卓二(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 嶋崎 宏明(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 水野 裕子(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 菅 敏樹(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 中岡 和徳(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 大城 昌史(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科), 吉岡 健太郎(藤田保健衛生大学 医学部 肝胆膵内科)
抄録 【症例】70歳女性【主訴】肝腫瘍精査目的【既往歴】高血圧症【現病歴】C型肝硬変にて近医通院中、腹部USにて肝S4とS8に肝腫瘍を認め、肝細胞癌(HCC)が疑われ当科紹介。【理学所見】特記所見なし。【検査成績】WBC 2500/μl、Hb 11.2g/dl、Plt 4.3万/μl、Alb 3.7 g/dl、T-Bil 1.5mg/dl、AST 91 IU/l、ALT 60 IU/l、PT 87%、NH3 100μg/dl、AFP 77.1ng/ml、AFP-L3 10.1%、PIVKA-II 13mAU/ml、CEA 11.3ng/ml、CA19-9 0.4U/ml、IL-2R 2243U/ml、HBsAg(-)、HBcAb(-)、HCV-Ab(+)、HCV-RNA 6.6LogIU/ml、HCV serotype 1型、IV型collagen 315ng/ml、BTR 5.93【腹部造影US】S4径30mm、S8径40mmをはじめ他に10~15mmの境界不明瞭な低エコー腫瘤を肝内に複数認め、Sonazoidで早期濃染し後血管相でdefectを呈する。【腹部造影CT】USの腫瘤に一致して淡く早期濃染し平衡相で不明瞭な腫瘤多発。【EOB-MRI】CTの腫瘤に一致して淡く早期濃染し肝細胞相で淡い低信号を示す境界不明瞭な腫瘤多発。腫瘤内部を門脈枝が貫通。【PET-CT】肝内腫瘤に一致して集積亢進。縦隔肺門部リンパ節軽度腫大と集積亢進。【肝アシアロシンチグラム】HH15=0.7278、LHL=0.8303、肝予備能中等度低下。【上部消化管内視鏡検査】慢性胃炎。【尿素呼気試験】Helicobacter pylori陽性。【臨床経過】HCCとしては非典型的画像所見であり、IL2R上昇やPET-CTの縦隔肺門部リンパ節集積亢進等から悪性リンパ腫も疑い、S8とS4腫瘤から肝腫瘍生検施行。病理組織にてExtranodal marginal zone B-cell lymphoma of mucosa associated lymphoid tissue type (MALT lymphoma)と診断され、血液内科で化学療法が開始された。【考察】肝MALTリンパ腫は稀な疾患であり、B型肝炎やC型肝炎、原発性胆汁性肝硬変など肝臓に基礎疾患を有する症例も多く、画像診断での確定診断が困難であることから、HCCと診断され切除後にMALTリンパ腫と判明した報告例も散見される。本症例はC型肝硬変を背景とした肝内多発病変である点、治療前に組織診断を行い化学療法導入が可能となった点で、貴重な症例と考えられるため若干の文献的考察とともに報告する。
索引用語 肝MALTリンパ腫, C型肝硬変