セッション情報 一般演題

タイトル O-092:

小嚢胞集簇を伴う充実性腫瘍で胆管狭窄を来たし膵癌を疑い切除した腫瘤形成性慢性膵炎の1例

演者 飯澤 祐介(三重大学 肝胆膵・移植外科)
共同演者 臼井 正信(三重大学 肝胆膵・移植外科), 佐藤 梨枝(三重大学 肝胆膵・移植外科), 高橋 直樹(三重大学 肝胆膵・移植外科), 種村 彰洋(三重大学 肝胆膵・移植外科), 栗山 直久(三重大学 肝胆膵・移植外科), 安積 良紀(三重大学 肝胆膵・移植外科), 大澤 一郎(三重大学 肝胆膵・移植外科), 岸和田 昌之(三重大学 肝胆膵・移植外科), 水野 修吾(三重大学 肝胆膵・移植外科), 櫻井 洋至(三重大学 肝胆膵・移植外科), 田端 正己(三重大学 肝胆膵・移植外科), 井上  宏之(三重大学 消化器・肝臓内科), 竹井  謙之(三重大学 消化器・肝臓内科), 伊佐地 秀司(三重大学 肝胆膵・移植外科)
抄録 症例は64歳、男性、大酒家。6年前より胃潰瘍で近医に通院していた。3年前に同院の検診でCTをうけたところ、膵頭部に36mmの多房性嚢胞性病変を指摘され、IPMNが疑われた。1年半前のCTでは変化を認めなかったが、3ヵ月前の CTで45mmと腫瘍の増大を認めたため、精査目的に当科に紹介となった。血液検査ではCEA 8.0 ng/ml, CA19-9 49.3 U/mlと軽度上昇を認めるのみであった。当科初診時のCTでは膵頭部に36mmの嚢胞性腫瘍を認めIPMNが疑れたが、MRCPでは腫瘍は小嚢胞の集蔟として描出され、SCNも鑑別診断となった。膵管の拡張はなく、ERCPでは主膵管は膵頭部で途絶し、抹消側にカニュレーションができなかった。総胆管下部に壁外性の圧迫に起因する狭窄を認め、ERBDを留置した。EUSでは小嚢胞が集簇した3cm程度の領域を認め、石 灰化を伴っていた。実質様の部位はドップラでの血流は乏しく、ソナゾイドでも周囲と同様のパターンを示していた。EUS-FNAでは腫瘍性病変は検出されなかった。膵癌の可能性が否定できず、また総胆管狭窄も認めたため、手術治療について説明したが納得されず経過観察となった。当科外来で経過観察開始より2ヶ月後に、ERBD閉塞による胆管炎をきたした。このときのCTで腫瘍は45mmと増大し、充実性部分によるSMA浸潤も疑われた。EUS-FNAを再度行 ったが、腫瘍細胞は検出されなかった。以上より、経過中、増大傾向を認め、 胆管狭窄を来した膵頭部の嚢胞部分をもつ充実性腫瘍で、膵癌の可能性が否定できないため手術が必要と判断した。亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行し た。術中所見では、周囲組織に炎症性の硬化を認めたが、膵実質はsoftであっ た。病理診断では、嚢胞部分は蛋白栓を含んだ貯留嚢胞で、充実性部分は炎症細胞浸潤、腺房の萎縮・消失と間質の線維化のみで腫瘍性病変を認めず、腫瘤形成性慢性膵炎と診断した。
索引用語 腫瘤形成性膵炎, 膵癌