セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-068:

胆嚢癌との鑑別を要した黄色肉芽腫性胆嚢炎の2例

演者 杉山  誠治(木沢記念病院 総合診療科)
共同演者 吉田 健作(木沢記念病院 総合診療科), 足達 広和(木沢記念病院 消化器科), 中川 貴之(木沢記念病院 消化器科), 安田 陽一(木沢記念病院 消化器科), 杉山 宏(木沢記念病院 消化器科), 堀田 亮輔(木沢記念病院 外科), 山本 淳史(木沢記念病院 外科), 尾関 豊(木沢記念病院 外科), 松永 研吾(木沢記念病院 病理診断科)
抄録 【症例1】60歳、男性。2012年1月より2型、高ウイルス量C型慢性肝炎に対して2剤療法が開始され、7月にSVRが確認された。その際の造影CTで胆嚢底部に8mm大の多血性腫瘤を指摘されたが、2011年8月の造影CTではその所見は認めなかった。USでは胆嚢底部に内部が低エコーの腫瘍性病変を認めた。MRIでは拡散強調像で高信号を示した。PET-CTでは胆嚢底部の壁肥厚に一致して集積亢進を認めた。血液検査ではCEA 6.0ng/mlと軽度の上昇を認めた。以上より、胆嚢腫瘍の診断で、8月20日に手術を行った。手術は胆嚢摘出術、肝床切除術、胆管周囲リンパ節郭清術を行った。摘出標本の病理組織診断は黄色肉芽腫性胆嚢炎であった。術後経過は良好で9月1日に退院となった。【症例2】68歳、女性。2012年12月中旬から腹痛があり、近医で投薬を受けたが改善せず、25日に当科を受診した。単純CTで胆嚢底部の壁肥厚、胆石を認め、造影CTでは胆嚢底部に不均一な造影増強効果を示す17mm大の壁肥厚を認めたが、2005年8月の単純CTではその所見は認めなかった。USでは胆嚢底部に壁肥厚を認め、その一部に血流の豊富な充実部を認めた。MRIでは胆嚢底部の壁肥厚はT2強調画像で著明な低信号を示し、拡散強調像では淡い高信号を示した。PET-CTでは胆嚢底部の壁肥厚に一致して集積亢進を認めた。血液検査では腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。以上より、黄色肉芽腫性胆嚢炎または胆嚢癌を疑い、2013年2月4日に手術を行った。術中の造影USでは腫瘍は周囲の胆嚢壁と同程度に造影された。以上より、癌よりも炎症を疑う所見であった。術中迅速病理検査では胆嚢管断端に悪性像を認めなかったため、拡大胆嚢摘出術を行い、リンパ節郭清は行なわなかった。摘出標本の病理組織診断は黄色肉芽腫性胆嚢炎であった。術後経過は良好で、2月14日に退院となった。【結論】胆嚢癌との鑑別を要した黄色肉芽腫性胆嚢炎の2例を経験した。黄色肉芽腫性胆嚢炎は画像診断において、胆嚢癌との鑑別が重要であり、文献にて考察し報告する。
索引用語 胆嚢炎, 胆嚢癌