セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-003:集学的治療により良好なQOLを保ちつつ生存中の高度進行Stage IV直腸癌の1例 |
演者 | 水谷 文俊(名古屋大学大学院 腫瘍外科) |
共同演者 | 上原 圭介(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 吉岡 裕一郎(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 相場 利貞(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 江畑 智希(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 横山 幸浩(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 國料 俊男(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 伊神 剛(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 菅原 元(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 深谷 昌秀(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 板津 慶太(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 水野 隆史(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 梛野 正人(名古屋大学大学院 腫瘍外科) |
抄録 | 症例は58才、女性で主訴は便秘と腹部膨満感。初診時CT検査では子宮浸潤を伴う直腸病変以外に両側肺転移、肝転移を認めた。大腸内視鏡下生検は中分化腺癌で、Stage IV直腸癌と診断した。閉塞症状を伴っており、まず低位前方切除術、子宮両側付属器合併切除、肝S3部分切除術を施行した。病理組織学的所見は、中分化腺癌、 pA、pN1、 pH1、 ly1、 v1、 R0切除で、KRAS mutantであった。術後は残存肺病変の切除を前提とした、mFOLFOX6+ベバシズマブ(Bev)を7コース施行(最終コースはBev抜き)後、右肺転移(右肺S2b+3a部分切除術)、左肺転移(左肺下葉切除術)を二期的に切除した。術後補助化学療法は施行せずに経過観察としたが、肺切除後8ヶ月で残肝再発を認めた。術前化学療法としてFOLFIRI+Bevを6コース施行(最終コースはBev抜き)後、肝後区域切除術を施行した。術後補助化学療法は施行せずに経過観察としたが、肝切除後16ヶ月で右肺上葉断端部再発、残肝再発を認めた。まず、左肺上葉断端再発部に放射線治療(60Gy)を施行したところ再発部は著明に縮小した(PR)。続いて残肝再発巣に対し、肝S2部分切除術を施行した。初回手術から3年6か月経過した現在、化学療法を施行せず、良好なQOLを保ちつつ経過観察中である。全身化学療法が著しい進歩を遂げた現在、Stage IVや再発大腸癌に対する治療は全身化学療法が中心となるが、患者のQOLを保ちつつ長期間強力レジメンを継続することは時として困難を極める。PSが良好な症例に対しては、手術・放射線などの局所治療を施行してchemotherapy-free intervalを確保することは、例え根治が難しい症例においても重要な選択肢の1つであると考えられる。 |
索引用語 | 高度進行直腸癌, 集学的治療 |