セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-066:

リンパ節転移を伴った副乳頭原発カルチノイドの1手術例

演者 奥野 充(岐北厚生病院 消化器内科)
共同演者 足立 政治(岐北厚生病院 消化器内科), 堀部 陽平(岐北厚生病院 消化器内科), 中村 憲昭(岐北厚生病院 消化器内科), 山内 治(岐北厚生病院 消化器内科), 齋藤 公志郎(岐北厚生病院 消化器内科), 田中 秀典(岐北厚生病院 外科), 石原 和浩(岐北厚生病院 外科), 廣瀬 善信(岐阜大学病院 病理部), 安田 一朗(岐阜大学医学系研究科 地域腫瘍学)
抄録 症例は50歳、女性。健康診断にて上部消化管内視鏡検査を施行し、ファーター乳頭よりやや口側にφ15mm大の粘膜下腫瘍を認めたため、精査加療目的に入院となった。腹部ダイナミックCTではファーター乳頭部付近に動脈相で強く濃染されるφ8mm大の腫瘍性病変と、膵頭部背側にφ9mm大のリンパ節と上腸間膜動脈遠位側にφ8mmのリンパ節腫脹を認めた。超音波内視鏡検査では、副乳頭部にφ9mm大の境界明瞭で類円形の低エコーを示す腫瘍性病変とφ8mm大のリンパ節腫脹を2ヵ所認めた。胆管、膵管には異常所見は認められず、下部消化管内視鏡検査、PET-CTでも異常所見は認めなかった。上部消化管内視鏡検査にてファーター乳頭より口側の粘膜下腫瘍から生検を行い、病理組織検査にて小胞巣状の異型細胞増殖を認め、免疫染色ではクロモグラニンA(+)、シナプトフィジン(+)、CD56(+)、MIB-1 index1%以下の腫瘍を認めた。以上より膵頭部リンパ節転移を伴う副乳頭部原発カルチノイドと診断し、膵頭十二指腸切除術を施行した。術中所見では十二指腸下行脚に小指頭大の腫瘍を触知したが転移を疑うリンパ節は認めなかった。術後病理組織検査では、副乳頭部粘膜下層にφ9mm大のカルチノイドを認め、脈管侵襲および上膵頭後部リンパ節(13a)および上腸間膜動脈遠位リンパ節(14d)に転移を認め、術前診断に合致していた。術後これまでに再発は認めていない。副乳頭部カルチノイドは自験例を含め、1985年から現在までに国内外で38例報告を認め、このうち20mm以下のカルチノイドは32例であり、その17例(53%)にリンパ節や遠隔転移を認めている。一方で、十二指腸カルチノイドの転移の頻度は20mm以下では18%との報告もあることから、副乳頭原発カルチノイドは腫瘍径が小さくても高率にリンパ節転移をきたす可能性があり、外科的治療の際にはリンパ節への転移を考慮し可能な限り系統的リンパ節廓清を行うべきと考えられた。
索引用語 副乳頭カルチノイド, リンパ節転移