セッション情報 一般演題

タイトル O-115:

大腸全摘術後の難治性回腸嚢炎にinfliximabが奏功した潰瘍性大腸炎の1例

演者 鏡 卓馬(富士宮市立病院 内科)
共同演者 鈴木 崇弘(富士宮市立病院 内科), 高野 亮佑(富士宮市立病院 内科), 奥谷 敬文(富士宮市立病院 内科)
抄録 【症例】41歳、男性。【主訴】血便、下痢、発熱。【既往歴】21歳 潰瘍性大腸炎で大腸全摘術、回腸嚢肛門管吻合術【現病歴】21歳時に潰瘍性大腸炎で大腸全摘術を受けて以降、平素から排便回数は1日6回程度で泥状便であった。転勤が多く、病状も安定していたため定期的な通院をしていなかった。2011年5月頃から1日10行以上の血性下痢が現れたが放置していた。8月19日に高所からの転落により受傷し中心性頚髄損傷にて千葉県救急医療センターへ入院した。8月30日に実家最寄りの当院整形外科へ転院した。【現症】体温37.8 度、腹部は平坦、軟で圧痛なし。水様血便12行/日。皮疹や関節痛を認めない。【検査所見】血液検査:WBC10300/mm3、Hb11.9g/dl、PLT58.8x104/mm3、CRP4.86mg/dl、便培養:病原性菌陰性。【経過】転院後は中心性頚髄損傷後のリハビリを受けながら、低残渣食を摂取していた。血性下痢と発熱、炎症反応高値が続くため9月9日に下部消化管内視鏡検査を施行した。回腸嚢炎と診断しmetronidazoleとmesalazineで治療を開始した。しかし、炎症反応は上昇傾向となり、さらに9月29日からbetamethasone注腸を追加したが効果は不十分であった。10月24日よりinfliximabを開始したところ、これにより速やかに寛解導入された。【結語】大腸全摘術後の難治性回腸嚢炎に対しinfliximabを使用した報告は少なく、比較的稀な症例と考えられたため報告した。
索引用語 回腸嚢炎, infliximab