セッション情報 一般演題

タイトル O-147:

肝動脈塞栓術が奏功した非機能性神経内分泌腫瘍G2の一例

演者 下山 真(浜松医療センター)
共同演者 影山 富士人(浜松医療センター), 松永 英里香(浜松医療センター), 石田 夏樹(浜松医療センター), 太田 和義(浜松医療センター), 松浦 愛(浜松医療センター), 森 泰希(浜松医療センター), 岩岡 泰志(浜松医療センター), 住吉 信一(浜松医療センター), 高井 哲成(浜松医療センター), 本城 裕美子(浜松医療センター), 吉井 重人(浜松医療センター), 山田 正美(浜松医療センター)
抄録 【症例】55才 男性【主訴】腹部の張り感【既往歴】高血圧症、高尿酸血症【家族歴】特記なし【生活歴】喫煙:10~15本/日×35年、アルコール:数年前まで2~3合/日で現在は機会飲酒【現病歴】平成23年4月頃より腹部の張り感を自覚し5月中旬に近医での腹部超音波検査で肝内に多発する嚢胞性腫瘍を認めたために5月下旬に当科紹介受診となった。【現症】異常発汗や低血糖発作などの自覚症状なく、右季肋下に肝を4横指触知【経過】血液検査成績はT.Bil 0.76mg/dl、AST 29 IU/L、ALT 48 IU/L、ALP 322 IU/L、LDH 244 IU/L、γ-GTP 237 IU/Lと肝障害を認め、腫瘍マーカーはCEA 3.6 ng/ml、CA 19-9 16 IU/ml、AFP 3 ng/ml、PIVKA-2 19 mAU/ml、NSE 24 ng/mlであった。造影CTで腫瘍周囲に造影効果を認め、MRIではT1強調で低信号、T2強調で高信号、DWIで拡散制限を認めた。FDG-PET/CTでは肝腫瘍に一致してFDG集積を認めた。上下部消化管内視鏡検査で特記なく遠隔転移を認めず肝原発悪性腫瘍と判断した。左葉外側区部分切除を行ない病理組織で小胞巣状から管状構造、コード状の配列を有する腫瘍細胞が増殖し免疫染色ではsynaptophysin陽性、CD56陽性、chromogranin A 部分陽性、Ki-67/MIB-1 指数 2.4%。非機能性神経内分泌腫瘍G2と診断した。非機能性であり肝内病変への治療を考え2回の肝動脈塞栓療法(TAE)後にソマトスタチンアナログ30mg/月を投与した。その後TAEを1回追加したが腫瘍の増大はなくFDG-PET/CTでもFDGの集積も消失した。【考察】近年神経内分泌腫瘍の治療はエべロリムスの登場でその選択肢が広がった。今回われわれはTAEを第一選択としたが肝内に限局した比較的血流の豊富な腫瘍で肝予備能が許せばTAEの効果はかなり期待できる。今後エべロリムスとの併用などその治療選択に症例の蓄積が望まれる。
索引用語 神経内分泌腫瘍, 肝腫瘍