セッション情報 一般演題

タイトル O-020:

門脈ガスと腹腔内遊離ガスを認めたCrohn病合併腸管嚢腫様気腫症

演者 多代 充(岐阜県立多治見病院 外科)
共同演者 梶川 真樹(岐阜県立多治見病院 外科), 水島 隆史(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 佐野 仁(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 山中 雅也(岐阜県立多治見病院 外科), 百々 昌紀(岐阜県立多治見病院 外科), 宮嶋 則行(岐阜県立多治見病院 外科), 水野 亮(岐阜県立多治見病院 外科), 園原 史訓(岐阜県立多治見病院 外科), 小西 滋(岐阜県立多治見病院 外科), 出口 智宙(岐阜県立多治見病院 外科), 原田 明生(岐阜県立多治見病院 外科)
抄録 症例は46歳男性。20年前に虫垂炎手術時にCrohn病と診断され、以後通院治療中であった。2日前から悪寒・嘔吐・下痢・全身倦怠感が出現し、その後も下痢が持続するため当院救急外来を受診した。来院時体温36度台で、右下腹部に圧痛を軽度認めるも腹膜刺激兆候は認めなかった。同日施行した腹部CTにて回盲部~上行結腸にかけて壁内気腫像を認め、肝表面・回盲部~横行結腸周囲を主体に腹腔内遊離ガスを認めたが、血液検査ではCRPの軽度上昇を認めるのみであった。腹部症状が乏しく腸管嚢胞様気腫症の可能性を考え入院の上保存的に経過観察となった。翌日施行した腹部CTにて腹腔内遊離ガスが軽度増加し、門脈ガスをごく少量認めたが、熱型・腹部症状・血液検査の悪化を認めなかった。以後飲水・食事を再開したが腹部症状の悪化を認めず、CT上腹腔内遊離ガスと門脈ガスは消失し腸管壁内気腫も改善を認めた。Crohn病の悪化の可能性を除外する目的で大腸内視鏡検査を施行したところ回腸末端に潰瘍の瘢痕を認めBauhin弁に軽度狭窄を認めた。入院12日目退院となり、現在も再燃なく外来定期通院中である。Crohn病に合併した腸管嚢腫様気腫症の報告は稀であり、今回の症例は門脈ガスと腹腔内遊離ガスも認めた。腸管気腫症を伴う門脈ガスでは腸管虚血、腸管壊死の可能性が高いと示唆する報告もあり、今回保存的治療にて軽快したので報告する。
索引用語 腸管嚢腫様気腫症, Crohn病