共同演者 |
田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部), 田中 努(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部), 石原 誠(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部), 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 原 和生(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 今岡 大(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 大林 友彦(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 関根 匡成(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 永塩 美邦(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 與儀 竜冶(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 堤 英治(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 佐藤 高光(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 坂本 康成(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部) |
抄録 |
【症例】50歳代、男性【主訴】発熱【既往歴】2年前から糖尿病、高脂血症【生活歴】喫煙30本/日*15年、飲酒ビール大3本/日*35年【現病歴】発熱を主訴に前医受診、その際に心房細動を指摘され循環器内科にて抗血栓薬の投与予定であった。吐血の既往があったため上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行、食道に病変を指摘され当院紹介となった。【経過】PET-CTを含めた精査の結果、胸部中部食道癌SCC, 長径3cm, 3/4周0-IIc+Is; cT1b(SM1)N0M0 cStageIと診断した。治療としては標準治療である外科手術、さらに化学放射線療法(CRT)を提示したが、合併症の存在、本人の希望より内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行なった。病理組織診断の結果、pT1b(SM2),ly2,v0,HM0,VM0?であったため、追加治療としてESD 2ヶ月後から根治CRT 50.4Gy/28fr.(予防域41.4Gy+原発巣Boost9Gy)+FP(5FU+CDDP)700/70療法2コース、さらにはBoost FP800/80療法2コースを行なった。CRT終了2ヶ月後の時点ではEGD、CTにて再発所見は認めなかったが、8ヶ月後に左股関節痛が出現、CTにて骨転移および#104L、#16リンパ節腫大、肝転移を確認した。入院にて左股関節に対し照射を開始したが、大腿骨頚部骨折を来たし人工骨頭置換術を行なった。その後、再発に対しFP800/80療法、DTX療法を行なうも効果認めずESD後14ヶ月で永眠された。【考察】本症例は組織の一部に腺癌線分を有していた。このことが経過を左右した一つの要因の可能性があるが、初診時に既にStageIVであった可能性も否定できない。本症例を振り返り、術前診断の限界あるいはESD後の追加治療の選択(CRTまたは手術)の難しさを考えさせられる重要な症例であると考え報告する。 |