セッション情報 一般演題

タイトル O-060:

上部消化管出血をきたした胃Glomus腫瘍の1例

演者 高見 麻佑子(伊勢赤十字病院 消化器内科)
共同演者 川口 真矢(伊勢赤十字病院 消化器内科), 三浦 広嗣(伊勢赤十字病院 消化器内科), 山本 玲(伊勢赤十字病院 消化器内科), 山村 光弘(伊勢赤十字病院 消化器内科), 大山田 純(伊勢赤十字病院 消化器内科), 福家 博史(伊勢赤十字病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】Glomus腫瘍は通常、四肢末端、特に手指爪床に有痛性腫瘍を形成する。胃に発生するGlomus腫瘍の頻度などは明記された報告はない。内視鏡所見としては粘膜下腫瘍の形態をとるため、鑑別疾患が多数挙げられるが、EUSやCTと組み合わせる事により、その特徴的な所見から他疾患との鑑別が可能となり、治療方針選択に寄与すると考えられたため、若干の文献的考察を含め報告する。【症例】36歳女性、特記すべき既往歴なし。数日前からのふらつき、めまい、動悸、黒色便を主訴に近医受診。血液検査にてHb8.3mg/dlと貧血を認め、同日当院紹介受診。緊急上部消化管内視鏡検査にて前庭部前壁寄りにφ30mm大の粘膜下腫瘍を認めた。腫瘍頂部は陥凹し潰瘍を形成、露出血管から噴出性の出血を認めており、凝固止血術を施行した。入院後に施行した造影CTでは、腫瘤は早期相から動脈と同等の造影効果があり、また遅延相まで造影効果は持続していた。EUSでは3~4層にまたがり筋層よりやや高エコーの内部不均一な腫瘤として描出された。CT所見での多血性腫瘍としての鑑別疾患として神経内分泌腫瘍やParagangliomaなども考えられたが、早期相での強い造影効果やEUSで確認された発生部位などからGlomus腫瘍を強く疑った。出血をきたす粘膜下腫瘍であり手術適応と考え術前検査を進めていたが、経過中にふらつきが再燃。Hb4.4と貧血再増悪、内視鏡的止血を試みたが、困難であったため、同日緊急手術となった。胃部分切除術が施行され、病理検査にてGlomus腫瘍と最終診断された。術前に組織学的評価は行えなかったが、上部消化管内視鏡・CT・EUSの組み合わせで術前診断は可能であると考えられた。
索引用語 Glomus腫瘍, 消化管出血