セッション情報 一般演題

タイトル O-076:

低位遺残胆嚢管に下部胆管屈曲を合併した一例

演者 高野 亮佑(富士宮市立病院 内科)
共同演者 鈴木 崇弘(富士宮市立病院 内科), 杉山 智洋(富士宮市立病院 内科), 鏡 卓馬(富士宮市立病院 内科), 奥谷 敬文(富士宮市立病院 内科)
抄録 【はじめに】胆摘後症候群のうち胆摘後も術前からの症状が改善しないものは、胆嚢以外の病変の遺残が原因とも言われており、その大半は遺残胆嚢管内の遺残・再発結石あるいは断端神経腫によるものであったりする。今回我々は低位遺残胆嚢管に下部胆管屈曲を合併した症例を経験したので報告する。【症例】57歳女性。繰り返す胆石発作に対し、2002年に他院にて腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行されたが、その後も数年毎に胆石発作様の症状を呈し、医療機関への受診歴はあるものの鎮痛剤等の対症療法にて経過観察とされてきた。2012年3月、嘔気、右季肋部痛を主訴に近医受診。肝胆道系酵素異常にて当院紹介受診となった。来院時検査結果はWBC3200/μl、T.Bil0.75mg/dl、AST90IU/l、ALT208IU/l、ALP 235IU/l、γ-GTP224 IU/l、AMY50 IU/l、CRP0.35mg/dl。CTにて明らかな胆管・膵管の拡張は認めなかったものの胆道結石の存在を疑って入院とした。入院翌日にERCP施行。胆道造影にて胆道結石は認めなかったものの、下部胆管屈曲所見と遺残胆嚢管が低位合流している所見を認めた。下部胆管での胆汁うっ滞に伴う胆管内圧上昇によって腹痛が起こりえると考え、内視鏡的乳頭切開術を施行した。術後軽度の胆管炎を呈したものの数日にて軽快。退院後は腹痛症状の再燃は認めていない。【考察】胆道走行および胆嚢管合流異常のバリエーションは多く、今回の症例では低位胆管合流タイプであった。低位合流タイプの特徴として、胆嚢管と膵管開口部の距離が短く、容易に胆汁・膵液が逆流しやすく、胆石・胆管炎・膵炎合併が高率であるという報告が散見される。下部胆管屈曲の原因としては胆嚢管低位合流による経年の胆汁逆流から胆汁うっ滞を呈した結果と考えた。このような胆汁流出障害に関してはOddi括約筋機能不全を生じていると思われ、内視鏡的乳頭切開術は有効であると考えられた。
索引用語 ● 低位遺残胆嚢管, 下部胆管屈曲