セッション情報 シンポジウム1「消化管疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S1-003:

上部消化管粘膜下腫瘍に対する直視型コンベックス式EUSによるEUS-FNA

演者 松崎 一平(名古屋大大学院 消化器内科学)
共同演者 宮原 良二(名古屋大大学院 消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院 消化器内科学DELIMITER名古屋大学附属病院 光学医療診療部)
抄録 消化管粘膜下腫瘍に対する超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA)は、病理組織学的診断を得る上で有用とされているが,当院の成績では20mm未満の病変や胃大彎病変で採取率が低い傾向を認めた.直視型(forward viewing:FV)コンベックス式EUSは病変との固定性がよいのが特徴であるが,斜視型(oblique viewing:OV)コンベックス式EUSと直接比較した報告はこれまでない.【目的】上部消化管粘膜下腫瘍に対するFVとOVによるEUS-FNAの診断能とEUS画質、手技等を比較検討する.【方法】2012年4月から2013年1月までに同一の上部消化管粘膜下腫瘍に対してFVとOV両方の内視鏡にてEUS-FNAを施行した16病変を対象とした.穿刺針は19Gを使用し腫瘍が硬い場合は適宜22G,25Gに変更した.Onsite Pathologistは同席せず白色調の組織片が採取されていれば検査を終了し病理組織診断を行った.1)採取率,2)EUS画質の比較,3)手技の容易さの比較,4)偶発症について評価した.尚,食道狭窄例や十二指腸などで従来のOVでは描出や穿刺することすら困難な症例も採取困難例として検討に含めた.【成績】病変部位は食道3例,胃11例,十二指腸2例で,平均腫瘍径は27.0±11.9(15-51)mmであった.1) 採取率はFV,OV,両方でそれぞれ62.5%(10/16), 62.5%(10/16),87.5%(14/16).2) EUS画質は頚部食道と食道狭窄例においてFVで優れておりその他は同等であった.3) FVによる手技がOVより容易43.8%(7/16),同等が50.0%(8/16).平均手技時間(min)はFV,OVでそれぞれ26.5±16.4,38.3±19.1と有意差を認めた.(P=0.039) 4) 出血や感染など偶発症は認めなかった.【結論】直視型コンベックス式EUSは斜視型コンベックス式EUSで穿刺困難な症例に有用である可能性が示唆された.
索引用語 EUS-FNA, 直視型