セッション情報 一般演題

タイトル O-043:

胃癌に対するESD治療後に追加手術を行った症例の検討

演者 伊藤 武(名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学)
共同演者 藤原 道隆(名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学), 宮原 良二(名古屋大学消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学消化器内科学), 小林 大介(名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学), 田中 千恵(名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学), 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学)
抄録 【目的】内視鏡下粘膜下層切除術(ESD)が普及し,EMRにくらべ病変の一括切除率が上昇し,内視鏡治療件数が増加している.内視鏡治療の病理組織検査結果が非治癒切除,あるいは違残再発で手術適応と診断され治療した症例について検討した.【症例,方法】当院消化器内科あるいは他院においてESDされた後,同一病変について手術が必要と診断され当科で治療した2004年11月から2013年2月の38症例について検討した.【結果】術式は,腹腔鏡下幽門側胃切除22例,腹腔鏡下幽門保存胃切除10例,腹腔鏡下噴門側胃切除1例,腹腔鏡下胃全摘2例,腹腔鏡下胃局所切除術1例,腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除1例であった.追加切除理由は,非治癒切除36例,違残再発2例であった.非治癒切除のうちの5例は,ESD困難あるいはVM1(およびVM評価困難)で,このうち4例に実際に癌が違残していた(リンパ節転移無し).SM2浸潤and/or脈管侵襲で追加手術した24例のうち22例には癌の違残は認めず,うち1例にリンパ節転移を認めたが,癌の残存があった2例にはリンパ節転移は認めなかった.また,SM浸潤に加えてVM1だった5例には,癌の残存もリンパ節転移も認めなかった.他に病理で未分化優位となった2cm以上病変が非治癒切除として追加手術されたが,違残,リンパ節転移ともに無かった.違残再発2例ではリンパ節転移があった症例は無かった.適応拡大症例で追加手術となったのは4例で遺残やリンパ節転移は無かった.リンパ節転移があった1例がfStageIBで,術後3年1ヶ月に肺炎で死亡した.他はすべてfStageIAであり,全例無再発で生存している.ESD後症例の手術時間181±202分,出血量206±46g(局所切除を除く)で同時期の非ESD後症例187±266分,223±58gと有意差は無かった.【結語】内視鏡治療後に追加手術治療を行った症例の治療成績は良好と考えられる.
索引用語 胃癌, 内視鏡治療