セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-070:

内視鏡的乳頭腫瘍切除術を『抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 2012』を遵守して遂行し後出血を来たした1例

演者 大脇 俊宏(名古屋第二赤十字病院 消化器内科)
共同演者 坂 哲臣(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 折戸 悦郎(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 林 克己(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 山田 智則(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 蟹江 浩(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 日下部 篤宣(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 金本 高明(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 野村 智史(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 岩崎 弘靖(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 青木 美帆(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 吉峰 崇(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 野尻 優(名古屋第二赤十字病院 消化器内科)
抄録 慢性心房細動の既往があり、プラビックス50mg/day、ワーファリン1.125mg/dayの2剤服用していた76歳の男性患者が、貧血精査目的に2012年10月5日上部消化管内視鏡検査を受けた。十二指腸乳頭部に径20mm大の腺腫が指摘された。2013年1月8日超音波内視鏡検査で、腫瘍の明らかな胆管膵管内進展や十二指腸壁浸潤を認めず、2013年1月9日に内視鏡的乳頭腫瘍切除術を予定した。抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 2012を遵守し、プラビックス・ワーファリン内服中止し、ヘパリン置換とした(15000単位/day)。1月15日に乳頭部腫瘍に対してEMR施行し、胆管膵管にそれぞれプラスチックステントを留置し終了した。術中切除面から出血は全く認めなかった。処置翌日からヘパリン15000単位/day ワーファリン1.5mg/dayを再開したが、1月17日朝に吐血。出血性ショックをきたし、Hbの低下を3.3g/dl認めた。直ちにヘパリン・ワーファリンともに再度中止し、同日に緊急上部消化管内視鏡検査を行った。腫瘍切除面にはコアグラが大量に付着していた。トロンビン20000単位撒布し終了とした。1月21日に上部消化管内視鏡検査で止血が得られていることを確認し、同日にヘパリン15000単位/day、ワーファリン1.5mg/dayを再開、APTT/INRを確認しながら調整を行った。以後出血は認めなかった。 ガイドラインにおいて、出血高危険度の内視鏡治療後の、抗血栓薬再開の目安は内視鏡的に止血が確認できた時点とあるが、低いレベルの根拠に基づいている。特に内視鏡的乳頭腫瘍切除術後は明らかな潰瘍面を形成性し、さらには、解剖学的に胃液、膵液、胆汁の暴露を直接受ける場所であり、治療後の抗血栓薬の再開時期に関してはより慎重になる必要があるだろう。
索引用語 内視鏡的乳頭腫瘍切除術, 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 2012