セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
---|---|
タイトル | O-100:下膵十二指腸動脈瘤破裂が原因となったhemosuccus pancreaticusの1例 |
演者 | 宮津 隆裕(浜松医科大学 第一内科) |
共同演者 | 市川 仁美(浜松医科大学 第一内科), 樋口 友洋(浜松医科大学 第一内科), 鈴木 聡(浜松医科大学 第一内科), 岩泉 守哉(浜松医科大学 臨床腫瘍学), 山田 貴教(浜松医科大学 第一内科), 栗山 茂(浜松医科大学 救急部), 杉本 光繁(浜松医科大学 第一内科), 大澤 恵(浜松医科大学 光学医療診療部DELIMITER浜松医科大学 分子診断学), 金岡 繁(浜松医科大学 分子診断学), 古田 隆久(浜松医科大学 臨床研究管理センター), 杉本 健(浜松医科大学 第一内科) |
抄録 | 【症例】70歳台男性【経過】201X年7月初旬より黒色便の自覚あり、近医受診にてHb 5g/dl台の貧血を認め、総合病院へ紹介受診となった。上下部消化管内視鏡検査施行されるも明らかな出血源は認めず。小腸からの出血が疑われカプセル内視鏡が施行されたが、有意な所見を認めなかった。その後黒色便は見られず、鉄剤投与にて貧血は回復し経過観察となっていた。11月初旬に再び下血が出現したため同院入院、上部消化管内視鏡検査にて十二指腸に新鮮血の貯留を認めるも出血源は同定できず。その後も輸血するも貧血進行あり、出血源の精査目的のため当院転院となった。同日上部消化管内視鏡検査を再施行したところ、Vater乳頭部より間欠的な出血がみられたため、胆道出血などが疑われ、緊急造影CT検査施行した。膵鉤部に1cm大の動脈瘤を認め、動脈瘤からの出血が膵管を経由しVater乳頭から流出するいわゆるhemosuccus pancreaticus(HP)の病態を呈していたと考えられた。放射線科および外科と相談し、緊急血管塞栓術を施行した上で、止血困難であれば緊急手術の方針となった。上腸間膜動脈から造影すると、下膵十二指腸動脈から出血源と考えられる動脈瘤が描出され、動脈瘤に対しコイル塞栓術を施行した。その後は下血みられず貧血進行も認めなかった。1週間後のMRIでの評価では動脈瘤は縮小しており、内部血流も認めなくなった。経過良好にて第12病日に退院とした。【考察】HPは主膵管を経由したVater乳頭部からの消化管出血に対して提唱された名称であり、稀な病態である。Vater乳頭部からの出血は間欠的であるため、内視鏡検査時に出血源を特定できない場合がある。今回我々は上部消化管内視鏡検査にて出血を確認でき、またCTにてHPの診断に至った後に、血管塞栓術を施行し良好な経過を得たので、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | hemosuccus pancreaticus, 下膵十二指腸動脈瘤破裂 |