セッション情報 シンポジウム1「消化管疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S1-009:

大腸腫瘍性病変に対する非拡大観察NBI所見分類(NICE分類)の検討

演者 濱田 康彦(三重大学医学部附属病院 光学医療診療部)
共同演者 堀木 紀行(三重大学医学部附属病院 光学医療診療部), 竹井 謙之(三重大学 消化器肝臓内科)
抄録 【背景】大腸腫瘍性病変に対するNBI拡大観察分類は複数の施設より提案され,腫瘍の異型度・深達度診断においてその有用性が報告されている.しかしその有用性にも関わらずスコープのスペックによる問題などにより,大腸拡大内視鏡診断は一般的とは言い難いのが現状である.一方,Tanaka,Sanoらにより大腸腫瘍の非拡大観察NBI所見分類 (NICE) 分類が提唱されている(Dig Endosc 2011; 23: S131-S139).この分類は高画素電子内視鏡による非拡大内視鏡観察で,ある程度まで大腸腫瘍性病変の異型度・深達度が評価できるシンプルな分類であり,拡大機能のないスコープによるスクリーニング検査時において有用性が期待されている.
【目的】非拡大NBI観察時の大腸腫瘍性病変の異型度・深達度診断におけるNICE分類の有用性を検討する.
【方法】2011年4月~2013年9月の期間において当院で大腸内視鏡検査時に発見された病変に対して非拡大NBI観察を行いNICE分類におけるType1-3の診断を行った後に,内視鏡的切除又は生検による組織診断が可能であった大腸腫瘍性病変390病変を対象にした.スコープは高画素電子内視鏡CF-Q260AI,CF-H260AZIを主に使用し,NBI観察時は色彩強調3,構造強調A8に設定し観察した.
【結果】全390病変においてHyperplasia34病変,adenoma-sm軽度浸潤癌(浸潤実測距離<1000μm)331病変,sm深部浸潤癌(浸潤実測距離≧1000 μm)14病変,その他11病変であった.NICE分類におけるType1をhyperplasia,Type2をadenoma-sm軽度浸潤癌,Type3をsm深部浸潤癌の指標とした時の診断能はType1で感度/特異度/正診率は82.4%/99.2%/97.7%,Type2で感度/特異度/正診率は99.4%/67.8%/94.6%,Type3で感度/特異度/正診率は64.2%/99.5%/98.2%であった.
【結論】NICE分類の大腸腫瘍性病変に対する異型度・深達度の診断能は高く,スクリーニング目的として十分認容し得るものであった.
索引用語 NICE分類, 大腸腫瘍